この記事でわかるポイント
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- ファクタリングでの会計処理について
- ファクタリングに関する消費税の扱い
- ファクタリングのタイプによる処理方法の違い
ファクタリングって借入じゃなくて、売掛債権の売却にあたるのよね。
そうだよ。売掛金は、会社の売上にあたるから、売上債権とも呼ばれるんだ。
ならさ、帳簿上も売上になるのかな ?
そうだね。会社の資産、詳しく言うと流動資産にあたるものだね。
なるほど。なんだか仕分けが難しそう。
じゃ今回はファクタリングの会計処理について、詳しく解説してみようか。
助かります先輩 ! よろしくお願いします。
最初に、ファクタリングを利用するに当たり、しっかりと理解しておかなければならないのが、会計上の仕訳処理といった問題です。
なぜなら、企業における経営の在り方は、まさしく経営業務が基本の軸で、経理なくしては正常な経営判断もできないからです。
同様に、会社の成長度合いをつぶさに確認する為にも、会計処理の必要性と重要度は、ますます重視されるべき点と言えるでしょう。
企業によっては、自分で処理をなされるという方もいらっしゃいますが、ファクタリングは融資やローンとは異なりますので、しっかりとした仕訳方法を学んでおく必要があります。
では、企業の成長と、適切な資金の投入は欠かせないものですが、ファクタリングは融資とは異なり、経理上をどのように分類されるべきなのでしょうか。
【参考記事】ファクタリングとは?【コレを読めば100%理解できる!】(保存版)
まずは、簿記の基本中の基本のおさらいをやっていこう。
はーい!
目次
簿記の基本 / 貸方と貸方とは
正常な会社経営をこなすためにも、経理担当者だけではなく、経営者も経理に疎くては適切な判断が出来ず、ビジネスの好機を見逃してしまう可能性もあります。
そこで、簿記の基本となる借方と貸方の事を、初心に返って復習しておきましょう。
借方・貸方と聞くと、金銭のやり取りを想像しがちですが、これはあくまでも簿記上の用語だという事を覚えておきます。
つまり、簿記の上では、金額の増減を表しているもので、特定の科目の金額が増えた場合には、借方が上がったり貸方が下がったり、またはその逆の傾向が帳簿上に記されるわけです。
また仕訳とは、複式簿記における発生した取引を貸借の勘定科目に分類することで、仕訳は仕訳帳へ記帳されることになります。
この仕訳にはルールがあり、特定の取引の貸借で分類された通りであればその勘定科目を増加し、逆であればその勘定科目を減少させるということになります。
複式簿記ね。この仕組みを考えた人偉い !
起源の所説は定かじゃないけど、15世紀頃にはすでに確認できるね。
次はいよいよ、ファクタリングの勘定科目について解説していこう。
お願いします、先輩。
ファクタリングにおける勘定科目の種類と仕訳方法
融資の場合、借入金といった扱いとなりますが、ファクタリングの場合は、契約の条件によっては仕訳の種類が異なってきます。
ファクタリングにおける仕訳の種類は、大きく分けて二つのパターンに分類され、売掛債権の売却であるが、売掛債権を担保とした融資であるかによっても異なります。
まず、多くのファクタリングで行われる売掛債権の売却ですが、一般的なファクタリングの手法として知られていますので、これを例にとってどのような仕分けが行われているかを見ていきましょう。
まず、売買によって売掛金が発生しますので、借方に売掛金・貸方は売上となります。
ファクタリング契約後は、手数料の支払い後に入金がありますので、借方に現金預金・貸方に預り金といった仕訳となります。
次に、売掛先からの入金後には売掛金の減少・現金預金が増加しますので、これをファクタリング会社に返済終了後、預り金が無くなり支払った分の現金預金も減少する事になります。
ただし、会計に関する一つの指針として、中小企業の会計に関する指針といったものがあります。これは、日本公認会計士協会並びに、関連する3団体の連名で制定されたもので、一つの会計基準として認知されているものです。
この、金銭債権の譲渡の定義によれば、ファクタリングにおける売掛債権の譲渡は、「金銭債権譲渡」と捉えることができます。つまり、譲渡/売却を行う一般的なファクタリングは、「売掛債権譲渡損」の勘定科目で処理するのが自然と言えるでしょう。
会社によって、考え方が違うってことでいいのかしら ?
そうだね。企業によっては仕訳方法が変わってくる場合もあるから、前もって打ち合わせておく必要もあるね。
次に企業によって重要な損益計算表について詳しく見てみよう。
また会計処理では、財務における収益と、様々な費用の状況を示す為、複式簿記で記録されているデータを集計するといった作業があります。これは、貸借対照表などと同時に作成されるべきもので、「損益計算書」と言います。
損益計算書は、企業における経営判断の材料として用いられるものです。そこで、ファクタリングを行った際には、一連の手順に沿った勘定科目で処理することになるわけです。
損益計算表での仕分け方法
ファクタリングにおける損益計算表での仕分け方法は、会社や経理の専門家によって、考え方や処理の方法が変わってくるというのが、前提にあることをまずは頭に入れておいて下さい。
ここでは、一般的な処理として、ファクタリングによる損益計算表での仕分け方法を解説しておきます。
まず、売掛金の発生ですが、これは会社のサービスや商品の納入が行われた時点で発生するものです。
売掛金は、企業の資産となるものですので、売掛金の発生の時点で売掛金と、売り上げにまず仕分けしておきます。
次に、ファクタリング会社へと出向き、ファクタリングサービスの依頼を行ったとします。
契約完了後に入金が終了した場合、この時点で手数料などは、売掛債権譲渡損として仕分けします。
そして、入金された際には、現金として仕分けし、売掛債権は未収入金として処理しておくことになります。
ファクタリングの場合、借入金とはなりませんので、融資やローンの場合とは少し毛色が異なってきます。
なるほど。ファクタリングの仕分けは、意外と分かりやすいわね。
でも気をつけておかないと、ファクタリングのタイプによっては仕訳方法が変わってくるんだよ。
2社間/3社間で異なるファクタリングの会計処理方法
2社間及び3社間ファクタリングでは、その手法が多少異なってきますので、それに応じた会計処理を行わなければなりません。
では、100万円の売掛債権が発生し、10%の手数料として、両者の仕訳を見比べてみましょう。
2社間ファクタリングの場合、まず売り上げを計上し、ファクタリング会社へ譲渡した売掛金を消滅させます。
その後、入金された現金との差額を、売掛債権譲渡損という営業外費用項目として処理します。
売掛先からの100万円の期日入金があり、ファクタリング会社へと支払いを行った場合、売掛先から振り込まれた現金は、ファクタリング会社のものですので、将来支払う必要がある預り金として処理しなければなりません。
3社間ファクタリングの場合は、売掛先の企業からファクタリング会社へと、直接の期日入金となりますので、売掛債権譲渡損として計上後には、会計の仕訳は必要ありませんのでご注意ください。
そういうことか !
同じファクタリングでも、2社間と3社間じゃ変わってくるのね。
この辺は経理を担当する方には気をつけてほしいところだね。
そこで、簡単な表にまとめて見やすくしたものがあるよ。
見比べるとよくわかるファクタリングの会計処理による違い
ここまで、ファクタリングに関する仕訳方法をまとめてみましたが、会計処理一つで処理の方法が変わってくることもあります。そこで、一般的な方法論として、二つのパターンに分けて見比べてみることにしましょう。
ファクタリング取引を行った際には、会社によって会計処理の仕訳方法が異なってきますので、どちらの手法をとるのか、実際にパターン化してみると分かりやすいからです。
そこで、一つの例を想定して、二つの仕訳に際するパターンを、売掛債権が100万円、ファクタリング割引料を5%、期間を3ヵ月と設定した場合を想定してご紹介いたします。
売掛債権発生時 | 期日前支払の場合 | 支払期日の場合 | |
パターン1 | 売掛金100万円 | 現金95万円 支払割引料5万円 | 現金100万円 |
売上100万円 | 売掛金100万円 | 売掛金100万円 | |
パターン2 | 未収金100万円 | 現金95万円 債権売却額5万円 | 現金100万円 |
売上100万円 | 未収金100万円 | 未収金100万円 |
簡単に表にまとめてみましたが、二つのパターンを比較してお分かりのように、売掛金のまま処理することもあれば、未収金として処理することもあるという点です。
また、売掛金に対してですが、科目を細分化しているケースも見受けられます。なぜ、細分化するかといえば、ひと目で分かりやすくする為です。例えば、売掛先企業のような得意先と、ファクタリング会社は、売掛債権がらみで混同しにくいように処理したりします。
上記に記した二つのパターンは、あくまでも一般例としてお考え下さい。実際の処理では、会社の方針やケースによっても変わってくる可能性があるからです。いずれにせよ、ファクタリングの利用で、経理上何かしらの疑問点があれば、専門家に直接聞くか、ファクタリング会社の担当者と相談するのがよいでしょう。
かなり見やすくなったわね!
少しややこしい部分があるから確認作業は必要だね。
それから、ほとんどの会社で使われている会計ソフトなんだけど、ファクタリングに対応していない場合もあるんだよ。
代用できる項目があればいいんだけど・・・
その辺は次の項で簡単に説明しているよ。
ファクタリングの科目が利用している会計ソフトにのっていない場合
ファクタリングは、融資やローンなどと同様、資金調達の一つの方法ですが、初めてファクタリングを利用する際など、通常の会計処理とは異なってきますので注意が必要です。特に、ファクタリングに知識のない経理では、ともすれば融資やローンのように、負債として考えてしまう可能性があるからです。
ファクタリングをよくご存じの方であれば、ファクタリングは売掛債権の売却にあたるもので、借入金とはならないという知識は当然お持ちのはずです。したがって、帳簿に携わらない経営者などは、ファクタリングの処理に特に注意して、間違えのない申し送りを行っておく必要があります。
ほとんどの会社では、専用の会計ソフトを利用していると思いますが、古いタイプの会計ソフトであれば、ファクタリングを使いたくても項目がないということもありえます。そこで、同じような処理方法に近い、手形として処理するという方法もあります。しかし、そうした項目も見当たらない場合、雑支出としての処理する必要も出てきます。
ファクタリングが、一般的に利用され始めたのはごく最近の事で、経理上様々な疑問点や不安が生じてくるかと思います。これまで、あまりなじみのなかったファクタリングは、2020年4月の再建法の改正により、ますます身近なものになっていくと思われます。
【参考記事】【2020年最新版】民法改正後のファクタリングはどう変わる ?
そこで、どのような書き方が正しいのか、またどうしたら適切な会計処理といえるのかを迷った場合、専門家である税理士に相談して、チェックしてもらうと安心です。
困ったら、プロに相談だね。
会社に税理士や公認会計士いない場合でも、会社がいずれかの事務所と契約しているはずだから、そのつてを頼ってみるといいよ。
それから、ファクタリングの消費税について、分かりやすく解説しておこうね。
その他の仕訳方法と消費税について
2019年10月1日に施行された消費税の増税ですが、すでに国民に浸透したせいか、随分と昔のように感じます。消費税の増税により、気になるのがファクタリングの税金についてですが、これらの案件について簡単にご説明いたします。
まず、ファクタリングの特徴として、手形割り引きや融資と同様の資金入手とは異なり、借入金にならないというのが大きいといえます。
というのも、会社の経営状態を知る為、バランスシートを活用しますが、ファクタリングを行うことによって、貸借対照表のスリム化が同時に実現されるといった特徴を持っている為です。
将来の融資などを考えてみても、バランスシートの正常化は、かなりメリットのあるものと、お分かりいただけるでしょう。
少し話はそれましたが、ファクタリングは債権の売却となりますので、ファクタリングの行為そのものには消費税は一切かかりません。ただし、債権の譲渡登記については、収入印紙といった税金があり、登記の際には司法書士の手を借りなければなりませんので、司法書士への報酬が別途必要となり、これに消費税が加わることになります。
また、ファクタリングに関する消費税として、交通費や雑費などといった費用がかかる場合があることも念頭に置いておきましょう。
次に、そのほかの仕訳方法ですが、会計ソフトなどの仕様上、「債権譲渡損」の項目がない場合があります。
こうした場合には、雑損失あるいは債券割引料、支払手数料などに仕分けしておくとよいでしょう。また、手数料の扱いについては、借入金利息と同じ考え方で、営業外費用の扱いにすることができます。
次に消費税ですが、広義では売掛債権は有価証券として扱われる為、売掛債権の譲渡は原則非課税取引となります。
ファクタリングには、消費税はかからないのね。
ここで解説した通り、ファクタリングには消費税がかからないけど、そのほかの諸費用については税金がかかることがあるね。
じゃあ、ファクタリングの契約の前には要確認が必要ね。
だね。悪質なファクタリング業者だと利用者の無知を利用して、消費税をだまし取るケースもみられるから気をつけよう。
怖い怖い。うちの叔父さんにも教えておこうっと。
まとめ
ここまでの解説で、ファクタリングにおける、仕分けの方法がよく理解できたかと思います。ただし、ファクタリングの会計処理方法は、あくまでも基本例としてお考え下さい。
なぜなら、会社の状況や実情に応じて、経理上の考え方が異なってくるからです。
ファクタリング会社の中には、コンサルティングにも特化している会社も見受けられます。
つまり、会計処理のサポートを行っている会社もありますので、会計処理方法が分からないといった場合は、ファクタリング会社の担当者に聞いてみましょう。
また、会社で税理士と契約を行っているのであれば、専門家である税理士さんに相談してみるのもよいでしょう。
以上、ファクタリングにおける基本の勘定科目と会計処理…でした。
\ メリット盛り沢山 /