この記事でわかるポイント
- 悪徳ファクタリング会社の手口が分かる
- ファクタリングで悪質な手口に引っ掛かりにくくなる
- ファクタリングそのものは違法ではない正当な資金調達方法だった
最近では、様々なメディアの影響により、ファクタリングそのものの認知度が、かなり高くなってきました。もちろん、政府筋である経済産業省による推奨も、ファクタリングを後押ししたことは間違いありません。
さらに、2020年4月の民法改正を受け、さらにファクタリングが扱いやすくなりそうです。しかし一方で、ファクタリング事業そのものは、免許や資格などを必要としない為、ファクタリングをよく知らない人物を、ターゲットとする悪徳ファクタリング会社も存在しています。
目次
違法性のあるファクタリングとは
私の叔父さんも小さな会社を経営しているけど、ファクタリングの事はよく知っているわよ。
確かに昨今のファクタリング認知度は、かなり高まっていると言えるね。でも、お金が集まる場所には、必ずと言っていほど人をだます集団が発生するから。
まるで、ゴキブリみたいね。
言い得て妙だね。実は今回は、そうした悪徳ファクタリング会社の存在を解説してみたいと思う。
なるほど。騙されない自己防衛は大切だもんね。
まずは違法なファクタリングが、どのようなものなのかを簡単に説明していこう。
よろしくお願いします ! 先輩。
ファクタリングを利用された方であれば、ご存じのことと思いますが、ファクタリングは債権を現物として、これを譲渡及び売却することにより、利用者が売掛債権の期日前に資金を得る手法となります。
過去の裁判の判例では、債権の譲渡には違法性がないとされていますので、ファクタリングのシステムには、全くの違法性がないことが分かっています。しかし、一部の判例において、実際にファクタリング会社が、逮捕されている事実を見逃すことはできません。事件は、2017年5月に起きました。
ファクタリング業界にも、激震が走る事になりますが、実はこのファクタリング会社、ファクタリングを装った高利貸しをしている事実が見つかったのです。ご存じのように、ファクタリングは、売掛債権の譲渡及び売却を行う為、手数料は発生しても利息などは発生しないはずです。
しかし、このファクタリング会社の場合は、ファクタリングを装いながら、実態は売掛債権を担保に、高金利で現金を貸し付けていたことがわかったのです。現金の貸し付けは、貸し金業法が適用されるもので、高金利に関しては利息法が適用されます。
つまり、この事件で逮捕されたファクタリング会社は、ファクタリングを装い、貸金業登録業者でないにかかわらず、高金利での現金を貸し付けていたわけです。摘発されたのは、東京のファクタリング会社で、このたびの摘発によって2業者8人が逮捕されました。
つまるところ、ファクタリングと言いながら、実際のところ貸し金業を行っていた為、今回の有罪判決に至ったというわけです。ファクタリング業界にとって、全くもって迷惑な話ですが、利用していた顧客らも、ファクタリングの知識が乏しかったことが、この結果をまねいたとも言えます。
えっと、確かファクタリングは、借り入れにならないんだよね?
そうだね。貸し金業は借り入れだから、根本的に対応している法律が違うんだ。
それなら、なぜ騙されたのかしら ?
それが悪徳ファクタリング会社の一つの手口なんだよ。その為にもファクタリング会社を利用する初期段階で、本当にファクタリングを行っているのかを確認する必要があるね。
騙されない為にも債権譲渡か貸金かを見極めろ
そもそもファクタリングは、売掛債権の譲渡及び売却を行うものですが、まずは2社間ファクタリングを例に挙げてみましょう。利用者側は、ファクタリング会社に売掛債権を持ち込み、債権の譲渡売却を行います。
形の上では債権の売却ということになりますが、売掛債権の入金期日には、ファクタリング会社に返却といった形でお金を振り込まなくてはなりません。法的には違法でなくても、こうした特異性から、ファクタリングはいまいち分かりにくい仕組みとなっています。
ファクタリング会社は、手数料名目で報酬を得ますが、手数料は売掛債権に対しての買い取り額から差し引かれます。つまり、この手数料が、あまりにも高額だった場合、売掛債権担保付の貸金契約であると判断される可能性が高く、違法性がある可能性も高くなるということになります。
売掛債権担保付の貸金契約の概念は、少し専門的で分かりづらい面もありますが、一般の方でも分かりやすい形で言えば、ファクタリング業界の手数料が、相場よりも高く設定されていると言えば、分かりやすいのではないでしょうか。ファクタリング業界では、売掛債権の買い取り額とリスクによって、手数料が上下しています。
しかし、業界の手数料には相場があり、2社間ファクタリングにおいて買い取り金額の10%から30%、3社間ファクタリングにおいて1%から5%が、手数料の相場となっています。
つまり、2社間においては30%の上限、3社間ファクタリングにおいては5%の上限を超える場合、違法性があるとみなされるということです。したがって、ファクタリングを利用するうえで、これらの上限を超える手数料を提示してくるファクタリング会社には、くれぐれもご注意ください。
ファクタリングの分かりにくさというよりも、契約の内容ってどの契約も難しいわ。
確かにね。契約書の内容に巧妙に隠されている場合もあるから。
よく「騙された方が悪い」って言うけど、絶対違うよね。
ケースバイケースだけど、こうした手口は「偽装ファクタリング」って言うんだよ。
偽装ファクタリングか、なるほど。
そこで、ファクタリングを利用する場合、そうした可能性を考慮しておく必要があるんだ。
なるほど。
偽装ファクタリングの可能性を考えよう
偽装ファクタリングとは、あたかもファクタリングを装いながら、実のところは違法な貸し金業を行っているファクタリング会社の事をいいます。
会社の看板やオフィスには、ファクタリングの文言があちらこちらに見られ、事業としてファクタリングを行っているように見えますが、実際には内容の異なる違法行為を行っているのです。では、偽装ファクタリングは、通常のファクタリングと比べると、どのような違いがあるのでしょう。
まず初めに、悪徳ファクタリング会社はファクタリングを餌に、最初から利用者をだまそうと考えています。その為、証拠が残らないように工作したり、利用者に対して余計な知識を与えないようにしています。
金融庁も、こうした事態に乗り出し、各業界機関へと注意勧告の為の資料を配布しています。したがって、次のような様子が見られた場合、高い確率で偽装ファクタリングであると推測できます。
- 高額な手数料、あるいは事務費や雑費などの名目での請求がある
- 契約書の内容に、売買契約であることが記されていない
- 集金代行契約について、回収できない場合に支払い責任を負うとの項目がある
- 見積もりに比べて、契約書の買い取り金額の開きが大きい
- 売掛債権のうち、一部譲渡を勧められる
- 契約書を自体がない、あるいは白紙の書類などに、実印によるなつ印を求められる
- 契約書のコピーを渡そうとしない
- 審査が一切ない
- 面接や契約など、会社で行わず社外で行おうとする
- 契約書の内容を説明しない
などなど、このほかにも様々な手口により、ファクタリングを隠れみのにして、高額な手数料を請求したり、ファクタリング利用者に不利な保証や担保を持ち掛けたりするケースもみられます。このようなケースの場合、その場で契約せずに法律の専門家のもとへと赴くのが一番です。
ファクタリング会社のオフィスにファクタリングの看板がかかっているからって、信用しちゃ駄目ね !
まあ、相手も詐欺のプロだから、巧妙な罠を見抜く目を養っておくことが大切なのさ。そこで、怪しいと思われる悪徳ファクタリング会社の手口のポイントをいくつか紹介しておこう。
よろしくお願いします。
貸し付けと判断される偽装ファクタリングのポイント
場合によっては、通常のファクタリング会社であっても、違法性のある貸し付け行為と判断される場合があります。そのポイントとは、まずファクタリング会社が負うべきリスクと、手数料の適正さという点です。
法的な観点からみると、ファクタリングの手数料は、利息制限法による利息と同等のもの、とみなされる場合があります。つまり、利息制限法では、年利20%が最大限度と規定されていますが、ファクタリングの場合、2社間ファクタリングなどは30%を超える場合があります。
もちろん、ファクタリング会社はリスクを背負っていますが、リスクの正当化が適切ではないと判断できる手数料については、違法な貸し付けとみなされる場合があります。次に利用者が、120万円の売掛債権を100万円の買い取り価格として、ファクタリング会社と取引を行ったケースです。
100万円が、売掛債権の売却として、速やかに振り込まれる分には問題はありません。ファクタリング会社によっては、内金として60万円だけを支払い、残りの40万円については、債権全額の弁済を受けたら支払うといった、「保証金」名目での契約内容であるケースです。
つまり、保証や担保名目で残金を設定されている場合、債権売却代金の一部しか受け取れない為、債権売買契約とはみなされないという事です。また、似た手口ですが、ファクタリング会社が、債権の一部のみを買い取り対象にするという事例です。具体的に言えば、売掛債権の査定額を請求書の額面から割り引く形、あるいはファクタリング利用者が希望する最低の金額を支払うというケースです。
2社間ファクタリングの場合、基本的には譲渡/売却という形になりますので、登記を行わない限りは分割することはできません。したがって、希望額の一部を支払ったとしても、債権の全額を差し押さえることになる為、担保性があるとみなされる場合があります。
なるほど。保証金とか担保とかの話しが出てきたら怪しいと思ってよ良いのね。
そうだね。ファクタリングは、担保も保証金も必要ないから。
高額な手数料は悪質だとわかりやすいけど、口のうまい人なら騙されそう。
とにかく、おかしいと思ったら契約しないことが大切なんだ。
話しは少し逸れるけど、ファクタリング会社側が違法とされることもあるんだよ。
詐欺ではなくて ?
うん、違法性の問題だから、これも知っておいて損はないはずだ。
えっ ! 違約金の請求が違法行為 ?
2社間ファクタリングの場合、システムの流れとして、売掛債権の譲渡売却を行い、債権の額面の上限として指定された現金を、ファクタリング会社から受け取ることになります。
しかし、これで終わりではなく、その後、ファクタリング利用者は該当の取引先企業から、売掛金が振り込まれるとファクタリング会社へと振込まなければなりません。これでファクタリング会社との契約が完全に完了となりますが、ファクタリング会社への返金がなされない場合はどうなるのでしょうか。
本来、売掛債権の額面を返済する必要があるファクタリング利用者ですが、状況によっては詐欺行為を行ったとみなされ、裁判沙汰になる可能性もあります。実は同様のケースで、違法性を疑われたケースがありました。ファクタリング利用者は、ファクタリング契約において、期日までに支払いができず、これを理由にファクタリング会社側から違約金を請求されました。
ここまでは、何ら問題はありませんが、問題となったのは後日売掛金を回収したにもかかわらず、その間の違約金としてひと月当たり、買い取り額の20%から30%の支払わせたことによって、弁済の期限を延長しました。
これが、金銭貸借契約とみなされ、結果利息制限法との差額の返還を命じられることになります。ここで問題となるポイントは、利用者側が売掛債権の売却金を支払えない場合、違約金が発生する旨の契約を行っていたこと。そして、支払期日に全額支払わせず、違約金及び利息扱いとして、後日全額を支払わせたこと。
最後に、債権を担保にした貸し付けとなっている、という点が違法性にみなされたわけです。本来ファクタリングは、債権による売却契約であり、金銭貸借契約による返済や利息の支払いといった概念はありません。ただし、ファクタリング会社側が貸し金業登録を行っている場合は、その限りで無い事に留意しておきましょう。
違約金を請求するのは違法なの ?
これもケースバイケースんなんだけど、返済の義務と違約金の請求は、それぞれ趣旨が異なるからね。
ファクタリング会社側が騙されているのに、、法律って難しいのね。
あくまでも法律は、厳格なものだからね。そのためにも、優良ファクタリング会社を選ぶポイントを説明するよ。
あっ ! 勉強になります。
優良なファクタリング会社を選ぶためには
優良なファクタリング会社の特徴は、自社の作成したホームページを運営しているという点です。現代は、インターネット文化花ざかりということもあり、例外なく優良な企業はすべて、自社のホームページを運営しているという事実は見逃せません。
しかし、単にホームページを運営するのであれば、素人でも作成可能です。重要なのはその中身で、特に情報の質には優良か、そうではないファクタリング会社の区別がつきます。特に注目しておきたいのは、次のような会社情報一覧といった情報です。
- 企業名称
- 本社及び支店所在地
- 代表者名
- 電話番号
- 設立年月日
- 資本金
- 業務内容
- 取引先金融機関及び関連会社の有無
- 役員名や従業員数
特に注意しておきたいのが、代表者名や電話番号、会社の所在地がはっきりとしていないファクタリング会社です。
また、提携先の銀行や資本金などは、ファクタリング会社の規模をはかる上でも、着目しておきたいポイントと言えるでしょう。注意しておきたいのは、これらの記載があっても、実際のファクタリング会社として、不可解な点がある可能性です。
例えば、連絡先が携帯電話であったり、該当する住所が小さなレンタルオフィスだったりする可能性です。面接の際など、ファクタリング会社のオフィスではなく、町にあるようなカフェで面談が行われるようであれば、疑ってかからなければなりません。
また、優良なファクタリング会社は、請求した見積もりと契約書にあまり差がないのが特徴です。話が違うとばかりに、諍いとならない為にも、見積もりと契約書に相違点がないかを、チェックするのも忘れないようにしましょう。そして、契約書の控えもしっかりともらっておくことが、後々のトラブルにならない為にも必要なことです。
なるほど。メモしておこうっと !
素性がはっきりしているファクタリング会社は、ほぼ信頼できるといっていいだろう。
何もやましいところがないから、隠す必要もないのよね。
そういうこと ! 悪徳ファクタリング会社全体に言える事なんだけど、こうした情報を隠すのも一つの特徴なんだよ。
すごく勉強になりました。先輩、ありがとうございます。
まとめ
ファクタリングそのものに、違法性はありませんが、悪徳ファクタリング会社はさまざまな手口で、利用者を誘導することがお分かりいただけたはずです。これらを参考に、ファクタリングで悪質な手口に引っ掛からないよう、ファクタリングの仕組みや、違法性のある手口を熟知しておく必要があります。
以上、悪徳ファクタリング会社の陰湿な手口…でした。
\ メリット盛り沢山 /