この記事でわかるポイント
- 個人事業主のメリットとデメリットがよく分かる
- 個人事業主の審査はここが肝だった
- 法人にするか個人事業主にするかはここで決めろ
現在、私たちの置かれた状況は、非常に緊迫した状態にあり、これまでの働き方や生活習慣そのものを、変えざるを得ない事態に追い込まれています。
それもこれも、昨今のコロナ渦の影響で、人との付き合い方を改めなければならなくなったからです。国によってコロナ対応は異なりますが、日本政府の対応策は、少なからず批判こそあれ、現状維持のまま推移していくものと思われます。
このような時期、日本の企業にも大きなダメージを受け、やむを得ず退社してしまう方も少なからずいらっしゃいます。その一方で、自らが商売を始める個人事業主に、熱い注目が集まっているのも事実です。
コロナって、風邪なのそれとも別もの?
専門家の話しによれば、コロナウイルスそのものは、たいていは風邪と診断されているもので、決して珍しいものではないんだ。
へーえ、そうなんだ。
ただし、新型コロナウイルスの場合、ウイルスの変異によって、人間にとってとても危険なものになったんだ。
死者も出ているしね。
感染力が非常に強く、肺炎が重症化しやすいのが特徴だね。
コロナ倒産の話しもよく聞くけど、それだけ離職者も多いって事だよね。
そうだね。在宅ワークが注目されているように、個人で事業を始めていいく人も増えているよ。
なるほど、個人の在宅ワークなら、無理して外出する必要もあまりないわね。
そこで今回は、個人事業主について、詳しく解説していこうと思うよ。
働き方の一つの選択肢だよね。よろしくお願いします、先輩。
目次
個人事業主のための基礎知識
個人事業主とは、いわゆる自営業と呼ばれるもので、特定の業種を指しているものではありません。つまり、一般の株式会社や法人組織ではなく、個人レベルで自由に営業を行う形態をひっくるめて、個人事業主と呼んでいるわけです。
具体的に言えば、どの地域でもある商店街ですが、魚屋さんや本屋さん・花屋さんやケーキ屋さん・喫茶店など、非常に幅広い業種がみられます。それらのほとんどは、個人で店を営業する個人事業主ということになります。個人事業主は、会社組織ではありませんので、経営者自身が働き方そのものを定め、自由に営業できるのが、大きな特徴と言えるでしょう。
また、法人と個人事業主では、税法上の扱いも全く異なってきます。法人税がその代表で、そうした会社組織で働く従業員たちは青色申告、個人事業主は白色申告といった形で確定申告を行います。
個人事業主の形態も様々で、事業主一人で仕事をこなす方もいれば、家族や従業員なども含めて、複数で事業を行っていても、法人でなければすべて個人事業主として扱われます。
法人各とは異なり、個人事業主であれば、どなたでも比較的簡単に開業することが可能です。一般的に個人で事業を始めるには、税務署に開業届を出すだけで事業を開始することができます。通常事業を開始し、1か月以内に開業届を提出する必要がありますが、罰則などは特にありませんので、小規模な内職程度であれば、届け出を出さない方もいらっしゃいます。
ただし、青色申告をしたい個人事業主に関しては、開業届を提出する必要があります。税制面で優遇措置を受けたいのであれば、青色申告を行う必要性が出てくるからです。
また、融資を受ける際にも、開業届は必要となってきます。融資の際には、銀行口座の開設及び、クレジットカード契約・店舗の賃貸契約、開業届の提示を求められることがあるからです。個人で事業を行う場合、2種類の開業届けがあります。
一つ目は、税務署に提出する「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれるものです。前述したように、青色申告をする際には必要で、用紙は国税庁のHPからダウンロードすることが可能です。
もう一つは、都道府県税務署に提出する、「個人事業税の事業開始等申告書」と呼ばれるものです。必ずしも提出しなければならないものではありませんが、同じく用紙は、国税庁のHPからダウンロードすることができます。
最近では、ウエブサイトを経由し、どなたでも簡単に開業届の手続きを行えるようになりました。開業freeeを使って、簡単に開業届が提出できるものですが、開業freeeとは開業届の手続きを手軽に行うためのサービスです。ステップに沿って情報を入力するだけで、どなたでも手軽に書類の作成が可能となっています。
さらに、電子申告にも対応しており、自身のマイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、自宅でも即座に開業の手続きを済ませることが可能です。国税庁のHPでは、初めての個人事業主のための、開業届の書き方やポイントを、初心者ガイドとして記載しています。どうしても手書きで書きたい方は、こちらをご参照ください。
誰でも簡単に、個人事業主になれるなんて意外だわ。
でも、何の事業にせよ、ある程度の専門知識は必要になるよ。
業種によって、専門性が必要とされるから当然の事よね。
専門知識があって、開業資金のめどが立つなら、個人事業主になるという選択肢もあるね。
なんか、夢があふれて来ちゃいそう。
自分の好きな仕事をやりたいのなら、個人事業主はオススメできるよ。
自由な個人事業主だけれど、メリットばかりじゃないのよね。
そこで、個人事業主について知るためにも、どのようなメリットとデメリットがあるのかを検証してみよう。
個人事業主のメリットとは
自由業の代表として、個人事業主が真っ先に挙げられますが、果たしてそのメリットとデメリットには、どのようなものがあるのでしょう。まずは、個人事業主のメリットとデメリットを、それぞれに確認していきましょう。
個人事業主になるメリット
所得に応じてによって控除額の選択が可能
詳しく解説すると、個人事業主の場合、白色申告よりも青色申告の方が税遇されるということです。
青色申告には、「青色申告特別控除」があり、帳簿を複式簿記で管理していれば65万円、そして簡易簿記で管理していれば、10万円を課税所得から控除できる控除枠があります。措置措置を受けることができますので、白色申告よりも税遇面で有利なことは間違いありません。
赤字計上は3年繰り越し可能
初期投資などの費用がかさみ、事業を立ち上げて数年は、赤字続きといった個人事業主もいます。しかし、赤字申告により、3年に渡って所得の相殺が可能です。これは、「繰越欠損金」と呼ばれる制度で、起点は赤字を出した期の翌期から、起算して3年間有効で、課税所得が減ることで減税効果が見込めます。
家族への給与は必要経費
個人事業主によくありがちなのが、家族でお店を切り盛りするというパターンです。この場合、家族を従業員扱いにし、経費として扱うことが可能です。ただし、白色申告の場合は86万円が上限で、青色申告の場合は上限がありません。
少額減価償却資産の特例
これは、30万円未満の固定資産は、即時償却の経費にできるという制度です。青色申告であることが条件ですが、1セットに付き、30万円未満の減価償却資産の場合、取得した事業年度で全額を経費にすることが可能です。
自宅兼オフィスであれば家賃や電気代が経費に
全額経費にできるわけではありませんが、割合に応じて家賃や光熱費などを必要経費に割り当てることができます。
事業所得と給与所得は合算可能
副業を持ち、その事業活動が生活収入の一部を支えている事実があれば、事業所得を合算して申告できます。つまり、赤字の相殺もできるということです。
屋号の口座管理
事業とプライベートを分けて管理できます。ただし、必ずしも屋号が必要というわけではありません。
こうしてみると、個人事業主のメリットって、意外に多いものなのね。
実はサラリーマンでも、個人事業主の恩恵はあるんだ。
えっと、副業の事かしら。
そうだね、サラリーマンは青色申告だから、副業で損失が出てしまった場合、赤字を相殺する事ができるんだ。
最近は家賃収入とか、副業で投資をしているケースもあるわよね。
ただし、きちんと確定申告を行わなければならないよ。
ハーイ、わかりました。
次は、個人事業主についてのデメリットを確認してみよう。
やっぱり、デメリットはあるのね。
個人事業主のデメリットとは
個人事業主のデメリット
税務署に申請が必要
さしたるデメリットではないように見えますが、サラリーマン時代から見れば、すべての書類を自分で出さなければならない気苦労は、身にしみてわかるはずです。確定申告を青色申告て行う場合、まず最初に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
確定申告は毎年必要
個人事業の開業届出をした場合、年間所得が少なくても、毎年確定申告が必要です。
複式簿記での記帳が必要
複式簿記とは、単式簿記で記載する現金の動きだけでなく、借方と貸方に分け、より詳細に記録する記帳方式の事です。青色申告では、損益計算書と貸借対照表の両方を作成し、なおかつ決算書として毎年3月15日までに、税務署へと提出する必要があります。
つまり、経営手腕のみならず、経理の仕事もこなさなければならないということになります。
社会保険料の負担
個人事業主であれば、国民保険への加入と思われがちですが、従業員を雇った場合は、社会保険に加入しなければなりません。つまり、従業員たちの社会保険に対して、保険料の半額を支払っていく必要があるわけです。
失業保険の対象外
個人事業主でも、従業員を雇っている場合、社会保険に加入するとともに、失業保険にも加入することになります。しかし、個人事業主には、そもそも失業の概念がなく、失業保険の給付そのものもありません。
ただし、開業停止届か廃業届を提出し、個人事業主を辞める事により、給付を受け取ることはできます。
一人個人事業主だと、デメリット面での負担は大きいわね。
家族を巻き込んでしまう方法が、意外と賢いやり方かも知れないね。
いっそ、会社にしてしまう方がいいかも。
なるほど、では副業のままがいいのか、個人事業主あるいは法人になる方がよいのか、目安となる指標を紹介していこう。
お願いします。
個人事業主又は法人になる目安
個人事業主になれば、様々な税制面での優遇措置や、自らの方針で事業を拡大させていくこともできます。
しかし一方で、事業として継続していくためには、経理面の業務もかなり負担となることが、お分かりいただけたかと思います。しかし、奥様など、ご家族に経理が得意な方がいれば、特に問題になることはないでしょう。
そこで、副業として続けていくか、個人事業主として開業するか、その分岐点となるものを覚えておきましょう。
まず年間所得が、個人事業主としてやっていくかの目安となりますが、年間所得が20万円以下であれば、副業として続けるのがベストです。理由は、20万円以下であれば、確定申告の必要もないからです。
年間所得が20万円以上になれば、確定申告が必要になります。毎年50万円から、100万円の年間所得があれば、青色申告のメリットが受けられますので、このラインが個人事業主の分岐点と言えるでしょう。
また、年間所得が500万円を超えるようであれば、会社設立を視野に入れてみましょう。実際に、年間所得が1,000万円以上であれば、個人事業主から法人に切り替えた方が、税制面でもかなりの優遇措置を受けることができます。
このように、段階を踏んで、副業から個人事業主、そして法人成りしていくといった道もあります。
えっと、年間所得が、個人事業主と法人の分かれ目って事でいいかしら。
大まかな話でいえば、そういうことになるね。
でも、個人で収入が500万円以上とか、かなりハードルがきつそうね。
だよね。そこで、資金調達が重要な問題になってくるんだが、個人事業主の審査基準を理解していたほうがいいね。
できれば、審査が通りやすいポイントを、教えてもらえると助かります。
了解 !
個人事業主の審査基準と審査が通りやすいポイント
一般的な会社経営者に比べ、個人事業主だと金融機関の融資など、審査に通りにくいとはよく聞く話です。理由としては、個人事業主だと資本力も弱く、信頼度が低いためとされていますが、具体的にはどのような基準で審査が行われているのでしょう。
ここでは、個人事業主の審査基準と、審査を通りやすくするポイントを解説していきます。
個人事業主の審査基準
借り入れに必要な書類を用意する
審査に必要な書類は以下の通りです。
- 身分証明書(免許証や保険証 / パスポートなど)
- 収入証明書
収入証明書に関しては以下の通り。
- 住民税課税証明書・確定申告書の控え
- 納税証明書
- 所得税納税証明書
- 印鑑証明書
- 通帳のコピー
- 連帯保証人の身分証
- 連帯保証人の収入証明書
一つでも書類が欠けていると、審査が通りにくくなり、時間がかかったり断られる事もあります。
審査が通りやすいポイント
ポイントとしては、収入源を証明する書類を用意することと、連帯保証人か保証会社を立てると審査が通りやすくなります。取引き先との業務委託契約書や、業務に関する覚書があるとさらに有利に働きます。
また面接の際、清潔感のある格好を心がけ、申告した金額が実収入より低いということがないようにしましょう。
必要書類に関しては、事前に何が必要なのか教えてくれるから、担当者の方によく話しを聞いておこうね。
保証会社を立てると、審査に有利に働くのかしら。
間違いなく有利に働くよ。ただし、それなりの経費は必要になるけど。
なるほど。
個人事業主であっても、資金調達の方法はいろいろあるから、融資だけでなく、どんな資金調達の手段があるかを勉強しておくのも大切だよ。
個人事業主の魅力がよくわかった気がします。
個人事業主を目指すのであれば、今回の解説をよく覚えておくことだね。
よくわかりました。有難うございます、先輩。
まとめ
いかがでしたか、個人事業主になるメリットとデメリット、そして法人成りとする節目など、かなり勉強になったのではないでしょうか。個人事業主は、借り入れに関して、どうしても不利になりがちですが、ほかにも資金調達方法はあります。
一番は事業においての信頼度、そして借入額が増え過ぎていないか、というところを審査ではよく重視されます。その点も踏まえて、借り入れとはならないファクタリングも視野に入れ、資金調達を検討していきましょう。
以上、個人事業主の借入審査でチェックされやすいポイントとは?…でした。
\ メリット盛り沢山 /