この記事でわかるポイント
- 安易なファクタリングの利用は犯罪の可能性があること
- ファクタリング利用時のNGについて
- ファクタリング利用した際にミスを犯した場合の対応策
2020年4月から民法改正に伴い、これまでよりもファクタリングが行いやすくなる可能性が高まりました。具体的に大きく変わるのは債権の扱いで、これまでファクタリング不可であった譲渡禁止特約が、条件付きながらも撤廃されることになりました。これまでよりも、利用しやすくなったファクタリングですが、利用者側も仕組みを理解していないと、犯罪に問われる可能性もあるといいます。
目次
ファクタリングにおいて運営会社が負うリスクとは
残念ながら新型コロナウイルスの影響で、オリンピックが順延になったわね・・
民法の改正は、無事施行されたんだけどね。
法改正によって、ファクタリングがやりやすくなったって聞くけど。
お金が回ると、景気も良くなるから歓迎すべきものだね。でも、大金を取り扱うことも多いから、ファクタリング下げには注意しないといけないよ。
ファクタリング詐欺ね。
今回はそうしたことも含めて知らなかったじゃ済まされない違法性の案件に関して解説していくよ。
法律に順守ね。よろしくお願いします ! 先輩。
ファクタリングが注目される背景には、バブル崩壊後の失われた20年やリーマンショック以降の圧倒的な不景気の到来により銀行の体制が強化されたことにあります。さらに日本は、慢性的なデフレ傾向が続き、その脱却の為、金利0%の時代になりましたが、これがさらに銀行などの金融機関の貸し渋りを加速させていきました。
こうした経緯により銀行の融資による審査はさらに厳しくなり、中小企業や零細企業はこうした影響を直接肌で感じているはずです。そんな中、昨今、企業経営者の資金調達手段の一つとして注目を浴びているのがファクタリングです。ファクタリングとは融資などによる借入ではなく、発生している売掛債権(取引先への請求書)に対して譲渡/売却を行うものです。
つまり、ファクタリング会社にとっては、すでに発生としている債権の買取を行う為、リスクの少ない取引が行えることになります。銀行のように厳しい審査がないのもこうした背景があるからです。
しかし、リスクが少ないとは言え、ファクタリング会社にも次に羅列する相応リスクは存在しています。
ファクタリング会社側のリスク
- ファクタリング利用者による不正のリスク 例)債権の二重譲渡やニセの領収書発行、事前請求書発行及び未割当のクレジットノートの可能性
- ファクタリング利用者及び、売掛先企業に対する信用リスク
- 売掛先企業の倒産及び、支払い不能や遅延のリスク
- ファクタリング利用者側の会社による倒産や支払い不能及び遅延のリスク
- 法律や規制によるコンプライアンス的な要素
ほかにも訴訟の可能性など、ファクタリング会社には実に様々なリスクが存在しています。
これらのリスクは、ファクタリングの手数料に反映されるものです。つまり、銀行などの融資審査に比べファクタリングの審査が比較的楽とされるのは、こうしたリスクをファクタリング手数料に上乗せする為だとされています。
【参考記事】実は多くのファクタリング会社側は詐欺被害に遭っています【事実】
「リスク=手数料」という訳ね。
ファクタリング会社の立場だと、どうしてもリスクを負う分、手数料に反映する必要があるんだよ。
ファクタリング利用者側もファクタリング会社側の事情をよく知っておかないと、ただ単に「手数料が高い」と不満を言っても仕方ないわけね。
そうだね。ファクタリング会社も上述のように「債権の二重譲渡やニセの領収書発行」等という詐欺的な行為によって被害に遭うリスクがあるんだよ。
軽はずみな行動は刑事告訴の可能性あり
民法の改正により更なるファクタリングの利用が今まで以上に活発になると予想されていますが、その分詐欺犯罪なども増えると予測できます。
現在も一部の悪徳ファクタリング会社がファクタリングを装って、融資や手数料名目での利息を受け取ったりとファクタリング利用者の無知をいいことに犯罪が増えています。
一方で、利用者側による犯罪も少なからずあり、無知だけでは済まされない場合があります。最悪の場合、刑事事件に発展する可能性もある為、これからファクタリングを利用しようと考えている方は、ファクタリングシステムの内容をしっかりと熟知しておく必要があるでしょう。
まず、ファクタリングの基本として、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。3社間ファクタリングは、手数料が安いのが魅力で、ファクタリングを初めて利用される方は、真っ先に検討なさるのではないでしょうか。
3社間ファクタリングの手数料が安いのは、リスクが極端に低いからです。なぜなら、3社間の場合、ファクタリング会社が売掛先企業から、直接売掛金を回収できるからです。
一方で、2社間ファクタリングの場合、秘密裏にファクタリングを行いますので、ファクタリング利用者側はファクタリング契約の完了後、売掛先企業に知られずに売掛金の売却を行っています。
その後、売掛先企業から入金されたのちに、ファクタリング会社に支払うという形がとられているのです。つまり、売掛債権の売却で完了ではなく、後日ファクタリング会社に売掛金を、支払わなければならないということです。
ファクタリング会社にとっては、まさにリスクありきの問題で、ファクタリング利用者が売掛金を入金してくれなければ大きな問題となります。最悪の場合、違約金はもちろんのこと、刑事告訴の可能性があることを肝に銘じておかなければなりません。
なるほど。利用者の方が入金しないといったケースも考えられるわね。
そうさ。よく見られるケースとして、いくつか紹介しておこう。
軽犯罪の域を超える請求書の偽造
最近は、民間のファクタリング会社も随分と増えましたが、ファクタリングの魅力は融資ではなく、売掛債権の売却となりますので、利息や月々の返済もありません。
また、銀行などの金融機関に比べて、通りやすい審査が売りとなっていますが、最近では請求書一つで、ファクタリング可能なファクタリング会社も現れています。
逆に言えば、利用者は請求書さえあれば、ファクタリングが可能ということになり、これを悪用する事例も少なからず存在しています。請求書の悪用で、まず最初に考えられるのは、架空請求書の作成でしょう。
利用者は、自らの手で請求書を作り出してしまう為、誰の手も借りずにいくらでも請求書を作り出せてしまいます。もちろん、架空の請求書の存在は違法行為であり「文書偽造行為」にあたります。架空請求書は、いくらでも作り出せてしまう為、複数のファクタリング会社に持ち込むことも可能となります。
請求書の偽造行為は、文書偽造となりますが、これをファクタリング会社に持ち込み現金化することにより、詐欺罪が成立してしまいます。あるケースでは、軽い気持ちで架空請求書をファクタリング会社に持ち込み、資金を調達したものの使い込んでしまい、返済ができなくなるとさらに架空請求書を偽造して、ほかのファクタリング会社に持ち込んでしまったといったケースです。
こうしたケースでは、さらに被害が拡大してしまい、大きな刑事事件へと発展してしまいます。こうした、架空請求書の偽造は、立派な犯罪行為ですが、さらにほかのファクタリング会社へと売却してしまえば、債権の二重譲渡となってしまいます。
また、請求書の水増し請求も同様で、仮にファクタリング会社に同等の金額を支払ったとしても、これらが明らかになれば罪に問われることは間違いありません。
完全に犯罪じゃないの !
手口が簡単なだけに「ついやってしまった」じゃ済まされないよね。
詐欺に対する代償は大きなもの
ファクタリングは、経済産業省も推奨するほど、画期的な事業資金の資金調達方法として、知られるようになってきました。
しかし、ファクタリングは、売掛債権の売却を行うといった手法で、貸し金業ではない為に、ファクタリングそのものを縛る法律といったものが存在していません。
その為、違法ファクタリング会社の存在も後を絶たず、金融庁では利用者に対して悪徳ファクタリング会社に関しての注意喚起を促しているのが実情です。そして同様に、ファクタリングの取引が増えれば、悪意をもって違法行為に加担する利用者も増える可能性があります。
一般的には、架空債権の偽造によって、ファクタリング会社がだまされるという事はあまり考えられません。なぜかといえば、2社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社は査定の前段階として、真っ先に売掛債権の調査を行うからです。
したがって、請求書や契約書を始め入出金履歴や取引履歴などを偽造されてしまうとそれを見抜く手立てはかなり困難なものになってしまいます。
また、ごくまれなケースとして、ファクタリング会社の社員が自ら描く請求書と知りつつ、そのままファクタリングを実行する行為がみられました。契約実績を重ねたいがゆえの行為ですが、発覚すればいずれかの罪に問われる可能性もあります。
こうした詐欺行為は、これからの資金繰りを悪化させるだけではなく、ファクタリングそのものが行えなくなってしまいます。ファクタリングサービスは、ある意味信頼で成り立っていますので、会社はおろか人生そのものが、台無しになる可能性が高いと言えるでしょう。
いくら切羽詰まっているからと言って、犯罪に手を染めるようなことが無いよう、良識のある行動をとることこそがビジネスでは大切です。
こういった犯罪は無くならないよね。
残念だけど、こうした犯罪を専門に扱っているグループが存在しているんだ。
所謂「グレー」っていうこともあるのね。
そこなんだけど、犯罪として扱われないケースもあるんだよ。
架空債権の存在をファクタリング会社が知っていた場合、サギにはならない ?
昨今のファクタリング需要の高まりにより、ファクタリング関連の犯罪も増加の傾向があります。詐欺を働く悪徳ファクタリング会社ばかりに注意が向きますが、実は健全な経営者であるはずの利用者が、自ら詐欺に走ってしまうケースが見られます。
ファクタリングにおける架空請求詐欺とは、実存しない売掛債権をファクタリング会社との間で売却契約を結び、現金を手にする事にあたります。すなわち、あたかも正当な債権のように振る舞い、ファクタリング会社と契約を結びますが、実体のない売掛金である為、実際には売掛金が回収できず、ファクタリング会社に損失を与えてしまうことにより、詐欺罪が成立します。
なお、こうした詐欺による被害額が500万円を超えた場合、刑事告訴され有罪となり、執行猶予のない実兄になる可能性が高いと言えるでしょう。
一方で、架空債権であるにもかかわらず、詐欺罪が成立しないケースも存在します。意外なことかもしれませんが、ファクタリング会社が黙認してしまうケースがあるということです。どのような事かと言いますと、外套の担当者がノルマあるいは取引を成立させたいが為、架空債権のファクタリングを持ちかける事があります。
担当者の文言は、例えば「何でもいいので売掛債権を売っていただきたい」「債権がないのなら作って下さい」などと、暗に架空債権の話を持ちかけるという手です。極端な例になると、「架空債権を用意してくれれば、必要な書類はうちですべてそろえますよ」などと、半ば公認の形で架空債権の売却話を持ちかけるという手段です。
こうしたケースは、架空債権であることをファクタリング会社側が認識していますので、詐欺罪が成立する事はありません。
なるほど。犯罪が立証されるには、こうしたポイントがあったのね。
でも、なるべく加担はしたくないよね。
そこで、万が一のトラブルに巻き込まれてしまった場合の、対処方法を覚えておこう。
ファクタリングでトラブルを起こしてしまった時の対処
まず初めに、銀行などの金融機関の融資は、様々な法律により規制されており、銀行であれば銀行法、民間の金融機関であれば貸金業法といった法律により事細かく規制されています。しかし、ファクタリングの場合、発生した売掛金を債権として扱い、売掛債権の売却といった形で契約が行われる為、どの法律にも当てはまらないのが実情です。
さらに、ファクタリングに関しての直接的な法律はなく資産の売却となることから規制することができないのが現状です。その為、様々な分野のファクタリン会社が参入しており、ごく一部ではありますが悪徳ファクタリン会社なるものが存在するのも事実です。
ファクタリングによるトラブルは様々なケースが考えられますが、この項目では自らが加害者になりかねない、といったケースを想定してみましょう。
ファクタリング利用者側がトラブルを起こす可能性として、
- 架空の請求書を利用してしまった
- 一つの売掛債権を誤って複数のファクタリング会社に売却してしまった
といったケースがあります。
これらのケースでファクタリング会社に売却額相当を支払わずにいると大問題となります。これら二つの問題は、文書偽造にあたるのは当然として、刑法246条の詐欺罪に該当するからです。
- 第246条
- 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
- 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
これらの案件は当事者の悪意の有無にかかわらず、法律によって裁かれる可能性があります。もちろん、これらの問題は法律家である弁護士に相談しますが、最悪刑事処罰の可能性がありますので当然の行為です。
弁護士の中にはファクタリングを専門に扱う事務所もありますが、注意事項としてファクタリング事業者側の顧問などを行っていない弁護士に相談することをお勧めします。
やっぱり、専門家に相談が一番よね。
そうだね。最終的には法律問題に特化した専門家の手を借りるのが一番だね。
まとめ
ファクタリングは、会社の資産である売掛金を債権として売却する為、直接ファクタリングを規制する法律が存在していません。その為、良きにつけ悪しきにつけ、ファクタリングが利用しやすくなっています。場合によっては、犯罪の可能性もありますので、万が一のトラブル対策としての知識も理解しておきましょう。
以上、ファクタリング利用時に違法とならない為に覚えておくべきポイント…でした。
\ メリット盛り沢山 /