この記事でわかるポイント
- 将来債権がどのような性質のものなのかがわかる
- ファクタリングで将来債権が利用できるようになる
- 将来債権が利用できるようになるとアウトソーシングが楽に !
2020年の民法改正に伴って債権法も改正され、いよいよ4月1日から施行されることになりました。
この中で今回新設された将来債権について、にわかに注目を集めるようになりました。これまで、将来債権についてはごく一部のファクタリング会社で取引は行われていましたが、今回の法改正により、きちんと明文化されることになったのです。
そこで、将来債権がいったいどのようなものなのか、そしてどのような扱いを受けるのかに着目してみましょう。
いよいよ、民法の大改正が始まりましたね、先輩。
資金調達がさらに加速されることになるだろう。
でもその割には、テレビやマスコミがあまり騒がないみたいだけど ?
一般的な人から見れば、非日常的なイメージがあるからね。ファクタリングの利用者はほとんどが会社経営者だから、TVも話題性が低いと思っているんじゃないかな。
そうなの ?
実際には契約のあり方も変わってくるから、一般人も無関係ではないんだけどね。
だよね。
でも、ファクタリング関連に絞ると、大きく注目されているのが将来債権の話題なんだよ。
将来債権 ?
今回は債権法に絞って、これまでほとんど無視状態だった将来債権について解説してみようと思う。
それは興味津々。先輩 ! 分かりやすく解説、よろしくお願いします。
目次
従来の民法では規定がなかった将来債権とは
将来債権って初めて聞くけど、いったいどんなものなの ?
それについて、少し分かりやすく解説してみよう。
将来債権とは、将来的に債権が発生する、あるいは債権の発生が予測されるもので、これまでのファクタリングにおいて、ファクタリング買い取りの対象外とされてきたものです。
冒頭で述べたように、実際にはいくつかのファクタリング会社が対応するケースはありましたが、基本的には将来債権買い取り不可が一般的でした。しかし、今回の民法改正に伴う将来債権の明文化によって、がぜん注目を集めています。
では、法改正により将来債権の何が明文化されたのでしょう。実はこれまで、絵にかいた餅状態であった将来債権が、譲渡可能つまり担保設定を行うことが可能であることを明記しました。これまで、灰色に近かった将来債権の譲渡性は、民法第466条の6項により明らかにされたもので、将来債権の譲渡によりファクタリングが可能となりました。
将来債権の譲渡により、堂々とファクタリングが可能となったわけですが、利用者にとってはどのようなメリットがあるのでしょう。
これまで、現在発生している売掛債権に対してのみ、ファクタリングが可能だったのに対して、次の月以降の売掛債権つまり、将来債権に対しても売却が可能になったわけです。
例えば、これまで売掛金が100万円だった場合、100万円のみの買い取りであったのが、単純に2倍の200万円の譲渡売却が可能になるという事になります。もちろん、買い取り額の設定や手数料の問題もあり、売掛金の額をそのまま入金してもらえるわけではありませんが、簡単に考えても2倍の取引が可能になったということは、利用者にとってはかなり大きなメリットとなります。
ただし、あくまでも予想される将来債権という性質から見ても、条件や査定などがかなり厳しくなることが予想されます。
【参考記事】【2020年最新版】民法改正後のファクタリングはどう変わる ?
えっと私、今マンションを借りているのだけど、家主さんからすると、私が支払う来月以降の家賃がこうした将来債権にあたるのかしら ?
うん、とてもわかりやすいね。アパートやマンションを経営する方にとって、家屋を供与するというサービスによって家賃といった対価を得るわけだから、家賃も立派な売掛債権にあたるね。
ふふーん。私って賢い !それで、この将来債権がファクタリングで利用できるようになったという訳ね。
そうなんだけど、もちろん限定したサービスの運用や制約があるのさ。
制約 ?
そこで次の項で実際にどのように将来債権が扱われていくのかを見てみよう。
ファクタリング会社への支払いが分割できる !?
ファクタリングを利用した経験のある方ならば、支払いの分割と聞いて違和感を感じることでしょう。
もちろん、これまでの2社間及び3社間ファクタリングの事ではありません。実は2020年度の民法改正に基づき、将来債権の扱いがファクタリング可能な債権である事が明文化された事にほかならないからです。
つまり将来債権が、ファクタリングの取り扱いサービスとして、有効であることになった為、これまで取引不可であった将来債権の利用が公にできるようになりました。そこで、どのようなサービスがなされるのか、利用者にとってはとても気になるところでしょう。
将来債権ファクタリングを説明すると、現状で確定していない売掛債権に対して、その譲渡売却を行うものです。これだけを聞けば、従来のファクタリングの2倍や3倍、といった入金が見込めそうですが、現実はそうではありません。
実際に予想されるサービスの内容は、1か月2カ月などと月ごとの契約が結ばれることが予想されるからです。つまり、3カ月の将来債権ファクタリングであれば、各月初めに買い取り金が入金されていくということになります。
これに伴い、ファクタリング会社への返済額も月ごととなり、結果分割払いといった形で支払いが行われるというわけです。「なんだつまらないとお考えの方もいらっしゃると思いますが、実際にはこれまでの売掛金とは別に、将来債権でのファクタリングが可能となる為、それまでの倍の取引が可能となります。
また、返済するタイミングは、厳密に言えば月ごとではなく、毎月の債権の履行が行われた後のタイミングとなるはずです。ともあれ、一括でファクタリング会社に返済するのではなく、月ごとなどのタイミングで行える為、支払いの負担はかなり軽減されるはずです。
将来債権と分割って、いまいち分かりにくいわ。
例えば、1か月遅れで売掛金が入金されるとして、最初の1か月間は入金はないが、次の月以降は取引き先から毎月支払いが行われるわけだね。
そうね。
これまでは請求書が発生していない次の月以降の債権は、ファクタリングの対象ではなかったよね ?
将来債権は請求書が発生していなくても見込みさえあれば、3カ月の売掛債権でも買い取可能になるね。
ファクタリングは売掛金の買い取りだけど、利用者の会社にとっては、売掛金の前倒しといった形になるんだ。
うん、そうよね。
つまり、3カ月先までの将来債権ファクタリングを利用すれば、一括で3カ月分のファクタリングが可能になるけど、相手先からの1か月ごとの入金で、売掛金支払いを行ってもらうという考え方なんだよ。
なるほど利用者にとっては、これまで1か月分の資金調達しかできなかったけど、3カ月なら3倍の資金調達が可能になる訳ね。しかも、ファクタリング会社への売掛金の支払いは、これまでと同じように1か月ごとですむわけだ。
そう、その通り !
じゃあ、半年とか1年先とか、かなり大きな額の資金調達が可能になる訳ね。
うーん、その辺は各ファクタリング会社で対応は異なると思うけど、これまでの経緯も含めて、予想できる範囲で解説してみよう。
将来債権はどれくらいの期間まで対応できるのか ?
今回の民法改正により、将来債権の譲渡が有効であると明文化された為、これまで以上にファクタリングの利用が活発になることが予想されています。実際に、ファクタリング会社の総数は、現在でも増え続けているのが実情です。
各ファクタリング会社は、新たなサービスとなる将来債権ファクタリングに対して、大きく注目しているように、利用者側も利便性を感じ、更なる利用が増えることが予想されています。しかし、ここで一つ問題がありました。
それは、将来債権の譲渡が、どれくらいの期間であるのか、法的にも明文化されていないことにあります。利用者にとっても、ファクタリング会社にとっても、有効期間がいつまでであるのかという問題は、かなりの難題になることが予想されています。では、法的な解釈は、どのようになっているのでしょう。
現在、将来債権について、様々な文献あるいは、様々な機関で協議中であるというのが現状のようです。法的に問えば、これまでの判例などを基に、将来債権の有効性について検討していく必要があります。
過去の判例に照らすと、1999年に行われた診療報酬債権の裁判がこれに当てはまります。判例では、8年3か月の将来債権の譲渡が有効とされましたが、実際のファクタリングに当てはめることは乱暴で、いくつかのレポートや文献をもとに参照してみると、最高で5年程度が妥当だなのではないかと思われます。
しかし、これでも実際のファクタリングに当てはめることは難しく、取引先の実績を踏まえて、数カ月程度に折り合いがつくのではないかと考えられます。どちらにせよ、将来債権の有効期間は、様々な論議の元、更なる法改正に向けて進むことは間違いないでしょう。
将来債権ファクタリングが可能となる条件とは
将来債権ファクタリングの運用が、本格的に始まるとみられているのが、2020年4月以降ということになります。各ファクタリング会社は、新たなサービスの運用となり、更なる利用者が増えることが予想されますが新しいサービスということもあって、審査などの判断材料に苦慮しそうです。
大きな理由として、将来債権はあくまでも将来発生するであろう債権であり、現時点で売掛債権として成立していないという点です。その為、これまでの 2社間及び3社間ファクタリングよりも、さらに厳しい審査が行われる事が予想されます。
まず、審査の条件となるものですが、利用者側の会社間取引において、一定の期間の取引が最重要視されます。常識で考えても、1・2カ月程度の取引関係では却下されることは勿論、中長期にわたる取引の実績が必要となってきます。
では、どの程度の取引期間があれば、将来債権ファクタリングが可能なのでしょうか。これは、各ファクタリング会社の判断にもよりますが、最低でも半年間以上、数年程度の取引があることが前提条件となるでしょう。
また、この会社間取引において、安定した額の取引が行われていることも、注視されることは間違いありません。さらに、売掛先企業の支払いの遅れ、そして今後も債券が滞りなく履行されることを証明することにより、ファクタリング会社の心証はかなり良くなるはずです。
このように、将来債権ファクタリングの利用に当たり、従来のファクタリングよりも厳しい審査が予想されますが、一度クリアしてしまえば、次回からは比較的簡単に利用しやすくなるはずです。取引においても、ファクタリングの利用においても、実績と信用が必須条件だからです。
将来債権の運用は、どんな対応になっているわけ ?
実際に将来債権の運用は始まっているわけだけど、現在のところ3カ月間が目安になっているね。
やっぱりそうよね。将来債権ファクタリングには、無限の可能性があっても無限の利用は不可能よね。
それじゃ、将来債権ファクタリングのメリットをまとめてみよう。
将来債権ファクタリングのメリット
今回の民法改正により、将来債権の譲渡が明文化されたとはいえ、どのように利用していくかを理解しておく必要があります。特に、従来の売掛債権とは異なる為、そのサービスの内容も若干変わってくることが考えられるからです。
その為、どのように将来債権ファクタリングを利用し、どのように活用していくかを整理し、考えておく必要があるでしょう。まず、将来債権ファクタリングのメリットですが、何と言ってもこれまで不可能であった分割での支払いが、可能になったという点です。
少し分かりにくく感じる方も、いらっしゃると思いますので、早速一例を記してみましょう。例えば、あなたの会社で、取引先との売掛金が毎月240万円、定期的にあったとします。これまで、この売掛債権を利用して、ファクタリング会社に240万円相当の債権を譲渡売却しました。
その後、取引先からの入金があり、ファクタリング会社に240万円一括して入金することになるわけです。しかし、将来債権ファクタリングの導入によって、例えば3カ月の将来債権の利用とします。
同じ、240万円相当の売掛債権の譲渡売却を行うことは一緒ですが、ファクタリング会社への支払額が異なってきます。つまり、3カ月分の将来債権であれば、分割での支払いが可能となりますので、月に換算すると80万円程度の返却で済むことになるわけです。
お分かりのように、一括での240万円返却よりも、3カ月間80万円の分割が可能となりますので、支払いの負担がかなり軽減されることがわかります。厳密に言えば、この額に手数料や諸経費が加わりますので、そのままの金額というわけにはいきませんが、将来債権ファクタリングでの分割のメリットは、図りしれないものがあります。
つまり、将来債権ファクタリングは多くの資金調達ができて、返済の負担が少ないというわけだよね。
そうだね。1か月分の売掛債権でわ、不足してしまう資金調達が可能になるよ。額の大きな資金入手は、経営の負担は減るうえ、ファクタリングだから、保証人や担保も不要で借り入れとはならない。
なんといっても、短期間での資金調達は、ファクタリングならではの魅力よね。
だけど、全くデメリットが無いわけじゃないから、どのように活用していくかが難しいね。
将来債権ファクタリングをどのように活用していくか
これまではごく一部のファクタリング会社の間だけのサービスでしたが、このたびの民法改正により、将来債権の譲渡が明文化されたことから、将来債権ファクタリングはかなり活発に利用されることでしょう。
これからは多くのファクタリング会社が、この将来債権ファクタリングサービスを開始すると予想され、新たなサービスに対してのルール作りや枠組みも始まります。これまでの説明の通り、将来債権ファクタリングのメリットは、分割返済が可能となったことから、かなりの負担軽減に役立つシステムです。
もともとファクタリングは、借入金ではありませんので、バランスシートの安定化にも役立ち、利息や月々の返済などもありません。実際に海外では、ファクタリングは資金調達の手段というよりも、管理及び業務の簡素化に重点を置いた、経営手法に用いられていることが多いようです。
いわゆる、アウトソーシングと呼ばれるものですが、ファクタリングを利用することにより、売掛債権の管理ができるのも利点となります。さらに、ファクタリング会社に依頼することにより、売掛債権の回収業務の委託が可能となり、請求書の管理/作成が会社の経理などの手を、煩わせることなく行えるという点です。
そして、大きな取引先相手などでは、ごく普通に行われている与信管理ですが、ファクタリング会社に依頼することにより、取引先の与信管理も容易に行うことができるのです。
これらの管理や調査及び、それに基づく書類の作成など、本来は自社で行うべきものですが、アウトソーシングにより、ファクタリング会社などの外部に依頼することですべて解決します。もちろん、手数料や諸経費などは必要となりますが、こうした労力と比較してもかなりのコストダウンであることは間違いありません。
やっぱり、かなりのメリットね。
そう安心してもいられないかも。
なぜなの ?
将来債権の利用によって、ファクタリング会社のリスクが大きくなるからね。
具体的にはどういったこと ?
そうだね、リスクが増える分、手数料が割高になってしまう。また、債権譲渡登記が必須になってくるから、長期にわたって利用すると、売掛先会社に知られてしまうといった可能性も否定できないね。
なるほど。ファクタリング契約が完了しない限り、登記の抹消ができないからね。
そういったデメリットも踏まえて、うまく活用していく事が重要になってくるね。
まとめ
民法改正により、債権法も大幅に修正され、新たな法律として将来債権の譲渡が、正式に明文化される事となりました。これにより、ファクタリングの幅もかなり広がり、これまで資金調達の方法であったファクタリングが、中長期にわたる利用により、アウトソーシングの手段として高い価値を持つことが分かったのです。
以上、【2020年最新版】 将来債権の活用でこれまでにない有利な資金調達が可能に…でした。
\ メリット盛り沢山 /