この記事でわかるポイント
- ファクタリング会社は銀行系と民間系に分かれていた
- 銀行系ファクタリング会社の特徴がよく分かる
- 銀行系ファクタリングの魅力がよく分かる
新型コロナウイルスの影響もあり、注目を集めているファクタリングですが、2020年4月の再建法の改正により、より浸透しやすくなったのも理由の一つです。基本的にファクタリングは、売掛債権を現金化するものですから、あまり手間もかからないのも人気の理由です。実はこのファクタリング、銀行系と民間系のファクタリング会社がある事は、意外に知られていないようです。
特に、銀行系のファクタリング会社は、これまで大手の会社ばかり相手にしていたということもあってか、その認知度はあまり高くない水準にあります。
ファクタリングの事は、よく知っていたつもりだけど、銀行系と民間系のファクタリング会社があったのね。
そうさ、似たような業種で、同じようなことはあるけど、いわゆる住み分け的な傾向があるよ。
住み分けって ?
そうだね、簡単に言えば、大きな会社なら銀行系のファクタリング会社、中小企業など比較的小さな会社なら、民間系のファクタリング会社という具合だね。
なるほど、分かりやすいわ。
とはいえ、民間系のファクタリング会社でも大会社を相手にするし、銀行系のファクタリング会社でも、一般的な会社と取引を行うケースもあるよ。
そうした傾向が強いということなのね。
そういうことになるね。
銀行系と民間系のファクタリング会社では、サービスに違いがあるのかしら。
基本的なサービスは同じだけれど、サービスの内容や審査の面で大きく違いがあるね。
そこで今回は、銀行系ファクタリング会社にスポットを当てて、その特徴とサービスを詳しく解説していこうと思う。
楽しみだわ。よろしくお願いします、先輩。
目次
銀行系ファクタリング会社の特徴
銀行系のファクタリング会社とは、銀行の系列企業や子会社が、主な業務としてファクタリング業務を行っている会社のことです。ファクタリング会社は、大まかに分けて、こうした銀行系ファクタリング会社と、ノンバンクと呼ばれる民間のファクタリング会社とに分けられます。
銀行系ファクタリング会社にも、様々なタイプがあり、大きく分けて大手銀行系と地方銀行や、信用金庫系のファクタリング会社があります。
これは規模の違いと地域性によるものですが、大まかな業務は同じものと理解しておくとよいでしょう。こうした銀行系ファクタリング会社の特徴は、母体が大きな資金力を持つ銀行などの金融機関であるということです。
実は、こうした銀行系のファクタリング会社は、ファクタリングにおいて草分け的な存在でした。最近では、ファクタリングの事をよく見聞きしますが、ファクタリングそのものは以前よりありました。しかし当時は、ファクタリングを利用するのは大手の会社がほとんどで、様々な諸問題もあって、ファクタリングが一般化することは無かったのです。
ファクタリングが、一般にあまり広まらなかった理由としては、日本の社会経済における慣習が大きな原因と言われています。それまで、信用手形が広く使われていたため、売掛債権の利用はあまり現実的ではなかったのでしょう。
現在は法改正も進み、売掛債権が手軽に利用できるようになってきました。一因としては、政府がファクタリングを推奨した、という点にも着目して欲しいところです。一時期は、銀行の貸し渋りが、中小企業の資金調達において問題視されていました。
しかし一方で、バブル崩壊後の銀行業界の状況を見る限り、バブル期に限りなく融資を行った結果、つぶれるはずのない銀行が破たんし、大きな銀行再編の波に飲み込まれることになりました。
その結果、銀行を含む金融業界は、さらに経営の引き締めを図り、それによって審査がより一層厳しいものとなったのです。政府のファクタリングの推奨は、このような背景をかんがみ、資金調達の手段を増やさなければならないという選択肢に迫られたのです。
銀行の審査が、以前より厳しくなってきたのは事実ですが、ファクタリングにおいては間口はかなり広がってきました。
それまで、銀行系ファクタリング会社といえば、上場企業のような大手の会社ばかりを相手にしていたのですが、一般企業も銀行系ファクタリング会社を、気軽に利用できるようになってきたのも事実です。それというのも、100年ぶりの民法の大改正により、債権法が改正され、これまで以上に自由な売掛債権の売買が可能になってきたからです。
これにより、銀行系ファクタリングも、大手の会社に限定されていたサービスの間口を広げ、中小企業などの売掛債権も取り扱うようになってきました。銀行系ファクタリングの最大の特徴は、母体が資金力のある銀行という点です。
会社としても、銀行との取引きを行っていれば、信用度も高くなっていきますので、少なからずメリットはあります。一般的な銀行融資と比べても、銀行系ファクタリングの場合は、審査の期間が比較的短く、売掛債権の現金化に時間がかからないのも大きな特徴と言えるでしょう。
銀行系ファクタリングの特徴は、資金力が豊富という事よね。
ノンバンクのファクタリング会社と比べて、大口の売掛債権を利用できるのは大きなメリットと言えるね。
それで、民間系のファクタリング会社と、どこが違うのかしら ?
それについては、銀行系ファクタリング会社の主なサービスを見ておくといいね。
民間系のファクタリング会社と、サービスが違うってこと?
もちろん、ファクタリング会社にもよるんだけど、銀行系ファクタリング会社の特徴的なサービスもあるんだ。
なるほど、それは興味深いわね。
では、銀行系ファクタリング会社の特徴ともいえる、主要なサービスを見ていこう。
銀行系ファクタリング会社の主要なサービス
銀行系ファクタリングの特徴が分かったところで、どのようなサービスを行っているのかを理解しておきましょう。民間系ファクタリング会社と比べると、サービスの内容が大きく異なりますので、銀行系ファクタリング会社を利用するうえで、サービスの内容を把握しておくことは必須とも言えます。
3社間ファクタリング
石橋を叩いて渡るのが、銀行系ファクタリング流。民間系のファクタリングの主流は、2社間ファクタリングですが、銀行系ファクタリングの主流は3社間ファクタリングというよりも、2社間ファクタリングの取り扱いは行っていません。
銀行経営ですので、与信審査を重視する姿勢は、銀行系のファクタリングも同じです。3社間ファクタリングは、売掛債権を現金化したい利用者と、ファクタリング会社そして、売掛債権の対象となる取引き会社との間で契約が行われます。3者協議のもと、ファクタリングを行うことになりますので、ファクタリング会社にとってリスクは低いものとなります。
一括ファクタリング
一般的にファクタリングといえば、売掛債権を保有する利用者が、ファクタリング会社に債権を持ち寄り、現金化するものです。
しかし、一括ファクタリングの場合、売掛金を支払う対象となる会社側から、ファクタリングを行うのが大きな違いです。いわば、通常の逆バージョンともいえる、3社間ファクタリングとなります。一般的な手形取引では、手形の発行に際して面倒な事務作業、あるいは印紙税などのコストが必要です。
しかし、一括ファクタリングの場合、ファクタリング会社に、こうした回収前の債権の買い取りを行うことにより、一括して手続きを委任することによって、コストダウンを図れるといったメリットがあります。また、買掛先会社に対して、リスクのない安定した資金調達方法を、確立することにもつながります。最近では、銀行ならではの電子債権を利用した、一括ファクタリングも行われています。
国際ファクタリング
ノンバンクなど、民間系のファクタリング会社にないサービスが、この国際ファクタリングです。国際ファクタリングは、海外で取引きする売掛先会社に対して行うものです。
基本的には、3社間ファクタリングと同じ仕組みですが、売掛債権を保有する利用者・ファクタリング会社・海外のファクタリング会社・売掛先会社との4者で、ファクタリングを行うことになります。国際ファクタリングは、国際的なつながりの深い銀行系のファクタリング会社独自のもので、信用情報も踏まえて把握できるといった大きなメリットがあります。
保証ファクタリング
保証ファクタリングも、ほかのファクタリング会社にはない、銀行系へファクタリング独自のサービスの一つです。
ただし、一般的なファクタリングとは異なり、保証ファクタリングの目的は、売掛債権の補償にあります。保証ファクタリングの仕組みは、売掛債権そのものの保証を行うもので、いわば保険的な意味合いの強いものです。
万が一、売掛先企業の不払いや倒産の場合でも、売掛債権の保障が行われます。売掛先企業の与信情報も把握できますので、リスクを加味した取引きの継続を目的とする意味もあります。
こうしてみると、一般的な民間のファクタリング会社とは、サービスの内容が異なるのね。
銀行独自のサービスと、言ってしまえばそれまでなんだけど、銀行ならではの強みを活かしたサービスと言えるね。
でもなぜ、銀行券ファクタリングでは、2社間ファクタリングの取り扱いが無いの?
簡単に言えば、リスクの問題ともいえるね。
2社間ファクタリングは、リスクが高いということね。
銀行はどうしても、リスクというものを極端に嫌うんだ。
それは、過去に大きな負債を抱えた経験からなの?
それもあるけど、不透明な取引はなるべく控えたいというのが一番の理由だろう。
なるほどね。
銀行系ファクタリングのサービスが、どんなものかを理解できたところで、次の項では銀行券ファクタリングのメリットとデメリットについて解説していこう。
銀行系ファクタリング会社のメリットとデメリット
銀行系ファクタリングは、銀行の特徴を活かしたサービスが特徴です。銀行には信用があり、ファクタリング可能であれば、できればでは銀行系で、といった方も多いことでしょう。そこで、銀行系ファクタリング会社のメリットと、デメリットを個別に見てみましょう。
銀行系ファクタリング会社のメリット
安心感がある
一般的なファクタリング会社と比べると、銀行系ファクタリング会社がその知名度もあり、信頼性が段違いに良いということが挙げられます。実際に、ファクタリング会社の中には、悪徳業者も少なからずあることから、大切な売掛債権を任せるのであれば、やはり信頼できる業者に委託したいというのは利用者の常です。
手数料が安い
銀行系ファクタリングの特徴として、信頼度とともに手数料の安さを挙げることができます。もちろん、売掛債権の額面にもよりますが、同一金額を比べてみても、手数料はかなり安いと言えるでしょう。
独自のサービスが利用できる
銀行系ファクタリング会社の特徴は、ほかのファクタリング会社にないサービスがあることです。国際ファクタリングを始め、一括ファクタリングや保証ファクタリングは、銀行系ファクタリング会社独自のサービスで、ほかのファクタリング会社で同一のサービスを行う会社はあまり見かけられません。また、売掛債権の額面すべてを売却することなく、一部の金額のみの売却も可能です。
銀行系ファクタリング会社のデメリット
2社間ファクタリングがない
銀行系ファクタリングは、売掛金先の企業から、債券譲渡通知などの承諾を含んだファクタリングがメインとなります。銀行系ファクタリング会社が、2社間ファクタリングを行わない理由として、リスクがある事はもちろんですが、債権の売却が貸し付けと比べて、あやふやである部分が多いからです。ご存じのとおり、貸し付けであれば金利制限もあり、適用される法律も異なってきます。
どちらにせよ、2社間ファクタリングを行いたい方は、銀行系ファクタリング会社を敬遠する事になります。
審査が厳しい
親会社が銀行ということもあり、銀行融資並みに審査は厳しくなってきます。したがって、融資と比べると、ファクタリングによる資金化は早いといえますが、ほかのファクタリング会社と比べて、現金化までの時間がかかることが多いと言えるでしょう。
小口の売掛債権の取り扱いがない
銀行によっては、売掛債権の下限が1000万円以上ということもあり、数十万円といったレベルの売掛債権では、最初から断られてしまうことが多いといえます。
銀行に筒抜けになってしまう
銀行系ファクタリングのデメリットに、同じ系列の銀行に情報が伝わってしまう恐れがあるという点です。ファクタリングそのものは、決して悪いことではありませんが、資金調達に困窮するからこそファクタリングを利用するわけです。
つまり、経営に何らかの支障ありとみなされ、与信による格付けランクが引き下げられてしまう恐れがあります。企業格付けが下がれば、おのずと融資に影響を及ぼし、最悪融資が受けられない状況も考えられるからです。
以上のように、銀行系ファクタリングにも、一般のファクタリング会社に見られないデメリットがあります。特に、先々融資をお考えの経営者の方なら、デメリットのことを考えると、二の足を踏んでしまうこともあります。
こうしてみると、一般的なファクタリング会社と共通しているのは、3社間ファクタリングだけなのね。
そういうことになるね。
銀行によっては、リスクの低い医療ファクタリングのみ対応といったケースもあるよ。
2社間ファクタリングをやらないのは、その仕組みに灰色の部分があるからってこと?
銀行として、こうした部分ははっきりとは示していないんだけど、実際にはそういうことだね。
なるほど、でもほかのファクタリング会社で、無いサービスがあるのは強みよね。
そうだね。
2社間ファクタリングができないのなら、銀行系のファクタリング会社を使う会社も限られてくるのかしら。
その点も踏まえて、比較的利用しやすい事業種を、今回のまとめとして紹介しておこう。
とても勉強になりました。有り難うございます、先輩
銀行系ファクタリング会社に有利な事業者とは
銀行系ファクタリング会社と言っても、これまでに紹介したサービスすべてを網羅しているわけではありません。国際ファクタリングや保証ファクタリングに対応していない業者もあり、3社間ファクタリングのみに対応する業者もあります。
また、一般的なファクタリング会社と比べ、審査が厳しいのも事実ですが、銀行によっては地方銀行や信用金庫など、比較的審査が甘いとされる銀行系ファクタリング会社もあります。また、建設業界や医療関連などに、特化したファクタリング会社もあります。
しかし、あまり小口の債権は、歓迎されていませんので、小口の売掛債権であれば、やはり民間のファクタリング会社一択ということになるでしょう。銀行系ファクタリング会社に、有利とされる事業者は以下の通りです。
- 上場会社のような大きな企業、あるいはその系列会社である
- 病院やクリニックなどの医療機関
- 調剤薬局など調剤報酬の取扱い店
- 介護施設や介護関連会社
銀行系ファクタリング会社は、サービスの特徴やメリット及びデメリットの面から、どうしても利用する業種や事業者が限られてきます。
まず、銀行系ファクタリング会社は、一般の小口の売掛債権はあまり取り扱っていないため、上場企業とまでは言いませんが、最低でも1000万円以上の売掛債権が条件と言えるでしょう。
また、与信の面でしっかりとしている医療関連の業種は、銀行系ファクタリングを利用しやすいと言えるでしょう。一般的にこうしたファクタリングは、メディカルファクタリングや医療ファクタリングと呼ばれるもので、売掛金の先が国の機関や団体である為、その信頼度が段違いに高いということがその理由です。
こうした医療関連業種であれば、まとまった売掛金でなくとも、銀行系ファクタリングを利用できる可能性がかなり高いと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか ? ファクタリングは、様々な資金調達方法の中でも、短期間で現金化が可能な優れた資金調達の手段です。しかし、メリットだけではなく、デメリットも存在するため、そうしたリスクを踏まえた利用を検討する必要もあります。
以上、
銀行系ファクタリングの特徴とは?どんな事業者が向いている?
…でした。
\ メリット盛り沢山 /