この記事でわかるポイント
- 緊急時の資金調達方法
- それぞれの資金調達方法のメリットとデメリット
- 注意すべきポイント
景気が良くなることは、だれしも大歓迎すべきところですが、実は景気が良くなると、逆に倒産が増えてしまうこともあるというのです。
しかも、業績が悪く赤字倒産するのではなく「黒字倒産」が増えるというのですから全くの驚きです。倒産は資金調達がうまく行われない事も一つの原因で、経営者なら何らかの対策をとっておく必要があります。
ねえ、先輩聞いてよ !
どうしたんだい、後輩君
母が私あての手紙を捨てちゃっていて、おかげでローンの督促状が来ちゃったの。
それって、残高不足が原因だろ。お母さんのせいじゃないんじゃない。
それは、そうなんだけど。
ま、会社の経営者だったら知らなかったじゃ済まされないところだね。
経営者ともなると、お金の動きに敏感にならないといけないわよね。
会社のお金といえば、多くの経営者が悩むのが資金調達と言われているね。
資金調達できなかったらどうなるの ?
最悪、倒産の危機だね。
そりゃ大変ね。
だからこそ会社のお金の動きには、敏感に対応しなければならないんだよ。そこで今回は緊急時にも役立つ資金調達の方法を解説してみよう。
よろしくお願いします ! 先輩。
目次
景気が良くなると黒字倒産が増える ?
普通「倒産」と聞くと会社の業績が悪化し、資金繰りがうまくいかなくなったと考えるのが一般的です。しかし、こうした赤字倒産とは別に、業績が黒字なのに倒産してしまう「黒字倒産」というものが存在するのです。
赤字倒産も黒字倒産も、支払いが出来ずに、倒産の状況に追い込まれるものですが、収支が黒字なのになぜ倒産するのか、疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。基本的に、どのような会社でも、特定の商品の納入か、サービスの提供を行うことで売り上げを上げていきます。
売り上げは、会社の業績として評価されるものです。普通の企業では、現金でやり取りする小売店とは異なり、数カ月遅れで入金されるのが一般的です。これを売掛金と呼んでいるのです。
売掛金は会社にとって売上となるもので、会社の売り上げは事業資金となり、運転資金及び固定費や人件費、仕入れ代金に充てられるものです。つまり、後の売掛金が回収できなければ、会社の支払いが滞ってしまい、最終的には会社の業務自体が立ち行かなくなります。
最終的には、倒産といった悲劇を招てしまうことになるわけです。ではなぜ、景気が良くなると、黒字倒産が増えるといわれているのでしょうか。黒字倒産になる原因は様々な要因によるものですが、最終的に支払いができなくなり倒産するものです。景気が良くなると会社の売り上げは上がり、設備投資や人手を増やしたりと支出額が増えてしまいます。
もちろん、更なる業績アップを目指し設備投資や従業員を増やすわけですが、このもくろみが崩れてしまうと、収入は増えず支出だけが増えてしまうことになります。資産がある会社であれば、資産を売ってしのぐこともできますが、体力のない会社は支払いができず倒産してしまうことも多いのです。
また、同様に、大幅な借入金の増大や、税金が納められず、倒産に至ってしまうといったケースもみられます。これらが、景気が良くなっているのにもかかわらず、黒字倒産してしまう一因になっています。だからこそ、いざという時の為の資金調達方法が会社の危機を乗り切るカギとなるわけです。資金調達方法を確立している会社は、逆に赤字経営でも倒産することはないのです。
景気が良くなると、倒産しやすくなるなんて不条理ね。
冒頭の君の話じゃないけど、支払いが滞ってしまえば信用問題に発展するからね。
確かに、反省反省。
そこで本格的な資金難に陥らないよう危険なサインとなる兆候を見ておこう。
資金難に陥りやすい危険なサインと対処法
売掛先企業の業績悪化
取引きの業績は、非常にナイーブな問題ですが、ビジネスにおいては状況判断が非常に大切になってきます。現在、取引における決済方法は、手形や電子決済 /銀行振り込みなどによるものですが、売掛先企業から売掛金や受取手形が入金されなければ、こちら側も支払いを行うことができません。
取引先の倒産が、前触れなく起こってしまわないよう、いつでも資金調達ができるように準備しておく必要があります。
対応策
- 取引先の与信情報を把握しておく
- メインの取引先を作らず、取引先の分散を心掛ける
- 現金取引を重視する
返済資金が足りなくなる
通常、売掛金や受取手形での取引では、入金が1か月から3カ月サイトであるのが一般的です。特に急速な売り上げの上昇は、仕入れ代金も増えることになり、結果支払いサイトの影響で資金が足りなくなってしまいます。
いわゆる、これが黒字倒産の前兆で、生産工場などを差し押さえられてしまえば、当然事業が継続できなくなります。ただ、こうした状況は、ビジネスチャンスでもありますので、経営者としてはかなり悩むところ。人件費も増えることを考えれば、素早い資金確保が急務となります。
対応策
- コストの削減を図る
- 追加融資の準備を行う
- 手形割引の活用
納税のことを頭に入れていない
資本主義の世の中は、どうしても売り上げ重視で経営を行ってしまいがち。どの企業も、売り上げ目標を掲げ、期末ぎりぎりに目標を達成したということもよくある話です。
しかし、期末間近であれば、売り上げのほとんどが売掛金や受取手形ということになり、納税の余力が全くなくなってしまう現状に陥ってしまいます。売り上げ達成は歓迎すべきことですが、駆け込みで売上を計上してしまえば、それだけ納税の対象となってしまうわけです。
税金の場合は、後日支払うということも可能ですが、税金が未納になってしまえば、融資を受けられないということにもなりかねません。
対応策
- 目標達成にこだわりすぎない
- 納税のタイミングで資金調達を講じる
在庫過多
お客様からの需要があるのにもかかわらず、在庫が不足してしまい、部下を怒鳴り散らすという光景はよくある話です。確かに、商機を失する事は、それだけの売り上げの減少につながりますので、経営者としても頭の痛いところ。
しかし、あまりに仕入れ量が多過ぎてしまい、商品がさばけないといった状況は、会社に大きなダメージを与えてしまいます。膨大な在庫は、それだけコストもかかり、本来の売り上げが計上できず大きな負担となります。さらに、仕入れの支払いが増え、経営を圧迫してしまうことは間違いありません。
対応策
- 極力在庫は控える
- 在庫管理をしっかりと行う
- バランスの良い仕入れで、一定の資金が残るようにする
適切な設備投資
設備投資は、円滑に事業を行う為にも必要なものです。特に、景気が上向きだと判断すれば、事業を拡大する為の設備投資は、更なる売上増大のチャンスともいえます。
ただ、もくろみ通りいかないこともあり無理な設備投資で経営に負担をかけ、資金繰りの悪化となってしまうこともあります。
対応策
- 投資した分をどれくらいの期間で、回収できるかを予測しておく
- コストの削減を図る
- 回収が難しい場合は、撤退も視野に入れる
支払いが入金よりも先にくる
起業したての頃は、よく起こりうることですが、企業間取引においては、必ずと言ってよいほど、売り上げは後日入金ということになります。支払いサイトがあるのは仕方ないとして、それを見越した資金を確保しておかなければなりません。
対応策
- 仕入先に対して、入金の時期を遅らせる
- 追加資金を確保しておく
支払先に対して、入金を遅らせるのは心苦しいものですが、会社の存続がかかっていますので、必ず売掛金を回収後に支払いが来るようサイクルを固定しましょう。
以上、資金難に陥りやすい危険なサインは、しっかりと経営に携わっていれば、比較的把握しておけるものばかりです。また、解決策や対策として、いろいろな手段を確保しておくことも、黒字倒産にさせない為のリスク軽減につながります。
すべての項目について共通しているのが、資金調達の手段さえ確保しておけば、倒産までには至らないということです。しかし、根本的な問題があるケースもありますので、経営者ならば少しでも早く、それらの諸問題に対応することを心がけていきます。
危険な兆候って、こんなにもあるのね。
確かに考えればきりがないよね。
経営者って本当に大変ね。私、できそうにもないわ。
すべて、経営者が行う必要はないよ。社内の体制や管理を強化しておくことこそ大切なんだ。
でも、どうしても資金不足に陥ってしまうという可能性はないのかしら?
あり得る話だね。そこで、緊急要素の高い資金調達の為に、あらかじめ対策しておく必要があるんだ。
急場の窮地をしのぐ資金調達方法
一般的な会社であれば専門の経理を雇いほとんど任せっぱなしにしている、ということはよくあるものです。しかしいざ、資金難に陥った際に、経営者は知らない存ぜぬでは済まされません。
いくら経営が上向きで急成長している企業と言えども、支払いができなくなれば倒産の危機は免れないと理解しておかなければならないのです。したがって、資金調達方法を確立させておくことは、いざという時の防波堤にもなり、経営危機の回避に役立つことになります。
経営者の方が、資金調達方法として、まず最初に思い浮かべるのは、融資といった資金調達方法ではないでしょうか。しかし、よほど大きな会社でない限り、個人事業主や中小企業の経営者が、常に融資を受けられるとは限りません。
また、銀行融資は審査に時間がかかり、現金化までには多くの日数を要することが多いのです。例えば、支払いが直前に迫っている場合、融資を得られたとしても、支払いが行えずに契約不履行という状況も考えられます。
そこで必要なのが、通常の融資とは別に短期の資金調達方法を確立させておくということです。では、事業資金調達の方法には、どのような種類の資金調達方法があるのでしょう。実際に目にしておくと、比較する際にとてもわかりやすいものです。
資金調達方法の種類
- 銀行融資
- ノンバンク融資
- 日本政策金融公庫
- 株式および社債の発行及び増資
- クラウドファンディング
- M&A
- 国及び自治体の補助金/助成金の活用
一部、一般的とは言えないものも含まれますが、事業資金を得る方法として、これらの手段があるということです。
また、融資や資金調達のタイプによって、手形割引及び手形貸付 / 売掛債権担保融資 / 不動産担保融資 ビジネスローン / プロパー融資 / 信用保証協会の保証付き融資 / 銀行のカードローンやフリーローン / ファクタリングなど、実に様々な資金調達の方法があります。
ただし、急場の窮地をしのぐ為の、資金調達方法ともなればかなり限定されてきます。こうしてみると、資金調達方法が短期間で行えること、そしてある程度まとまった資金を確保できることを考慮すると、ビジネスローンとファクタリングが、最有力となる資金調達方法と言えるでしょう。
短期的な資金調達なら、やれる方法も限定されるわね。
そうだね。そこで短期で資金調達可能な方法を見てみよう。
短期間で資金調達可能な「ビジネスローン」と「ファクタリング」
これまでに資金調達方法として様々な手段をご紹介しましたが、それぞれに一長一短があります。急場をしのぐ為の資金調達方法として不向きな理由には、審査に1週間以上かかってしまう、担保や保証人が必要となる、資金入手までに時間がかかりやすい、といった理由が挙げられるからです。
ではなぜ、ビジネスローンとファクタリングが、短期間で資金調達可能なのかをご説明しましょう。ビジネスローンとファクタリングは、基本的に担保や保証人が必要なく、審査の期間も短く当日融資も可能である事がよく似ています。また、銀行の審査が通らない、銀行融資の枠を借りきってしまっているといった場合でも、利用可能だというところです。
しかし実際には、両者はシステムそのものが大きく異なっています。ビジネスローンは、借入金となる為、企業にとっては負債に当たります。しかしファクタリングの場合、売掛債権を売却する為、借入金とはならないという点です。ファクタリングのシステムは、売掛金を債権として、ファクタリング会社に譲渡を及び売却を行うことで、資金調達を可能としています。
ファクタリングには、依頼者とファクタリング会社との2社間ファクタリング、さらに売掛先企業を含める3社間ファクタリングの契約があります。2社間との違いは、売掛先企業の承諾を得て契約を行うという点です。また、2社間ファクタリングでは、売掛先企業に知らせず契約を行いますので、第3者に知られる事なく資金調達が可能な方法です。
次にビジネスローンを見ていくと、あくまでも借り入れである為、一部限定的な制約もあります。例えば、赤字決済であったり、税金の滞納やリスケ中だったりすると、ビジネスローンを利用する事はできません。
こうして比べてみると、ほとんど制約のないファクタリングは、条件的にもかなり優れた資金調達方法であることが、お分かりいただけたかと思います。ただし、全くのデメリットが、無いわけではありません。
ファクタリングの場合、手数料がやや高めに設定されていることが不安材料になります。また、もともと売掛金は、会社にとって売上ともなるものです。支払いサイトを短くして、資金調達するファクタリングは、売掛金の前倒しとなりますので、この点注意が必要となります。
こうしてみると、ファクタリングはかなり優れた資金調達方法なのね。
短期の資金調達方法限定であれば、かなり有力な資金調達方法であることは間違いないね。
でも、手数料が高いのよね。
それは、あくまでも銀行融資などと比べてみての話だね。切羽つまっている状況で、簡単に資金調達できるのは経営者にとってかなり貴重な存在なんだ。
なるほど。確かにそうね。
確実に言えるのは、いざという時の為に対策をとっておくことだね。
まとめ
「支払期限が間近に迫っている」「数日中に返済しないと担保売却されてしまう」「週末までに資金調達しなければ、光熱費や社員の給料が払えない」
こんな時に役立つのが、急場をしのぐ資金調達方法です。いくつもの資金調達方法を準備しておけば、いざという時にあわてなくても済むというものです。
以上、緊急時の資金調達におすすめな方法を伝授します…でした。
\ メリット盛り沢山 /