この記事でわかるポイント
- 資金繰りに困ったときの相談すべき窓口について
- 政府の緊急支援策がまるわかり
- 事業資金計画の重要性について
新型コロナウイルスの影響で、日本はおろか世界の経済状況が、一変してしまう恐れがあります。
緊急事態宣言が行われた今、国内の企業は会社を運営する事さえままならず、多くの会社は事業資金の調達に追われています。
特に、小規模な会社は、事業資金の枯渇が何より優先ですが、このような時こそ冷静に対処していきたいものです。
ちょっと ! 先輩聞いて下さいよ。
どうしたんだい ? いきなり。
それが、私の友達が派遣で働いていたんだけど、急に首を切られちゃったの。これって、明らかに不法解雇よね。
以前の日常なら、確かに大問題になりかねない話題だ。
ということは、これもコロナの影響なの ?
事情は分からないけど、おそらくそうだろうね。
今は問題にならないという事なの ?
確かに問題なんだけど、国内の企業は生き残りがかかっているから、あまり強く言えないんだよ。
早く、コロナは終息しないかな。
今のところ、画期的な治療法も無いし、ワクチンに至ってはまだまだ先の話だろうから。
何とかしなきゃ。
確かに、切羽詰まった状況なんだけど、こんな時こそ冷静な対処が必要だよ。そこで、経営の根幹にかかわる国内企業の立て直しの為にも、新型コロナ関連の特例融資に関して開設して行こうと思う。
会社がなければ、働く人たちは困るのよね。
そういうことだね。まずはコロナウイルスの近況を確認しておこう。
よろしくお願いします ! 先輩。
目次
新型コロナウイルスによるダメージ
新型コロナウイルスは、流行性感冒や従来型のインフルエンザとは異なり、いまだウイルスの全貌が解明されていません。
今やその死者数は、全世界で二十万人を超える勢いです。根本的な根絶には、ウイルスの対抗措置として、ワクチンの存在は欠かすことはできませんが、通常ワクチンの開発には5年から10年かかるといわれています。
関係筋では、18カ月をめどに、ワクチンの開発が急がれていますが、その間も私たちはウイルスと対峙しなければなりません。
世界的なコロナウイルスの流行は、経済に大きなダメージを与えています。生産業のみならず、流通業にも深刻なダメージを与え、サービス業に至っては自粛といった形で、営業することすらままなりません。
企業が、機能を果たすことができなければ、そこに働く人々の仕事は無くなり、収入のない状況が続く事は、まさに死活問題と言えるでしょう。
何とか、日本国内のインフラは持ちこたえていますが、抜本的な収入減をどうやってやりすごすのか、政府としては一番の頭痛の種となっています。
そこで、一つ冷静になって、厳しい現状を分析しながら、どのような対策ができるのかを、個人一人一人が考えていかなければなりません。
有り難い事に、現在政府の支援策として、様々な助成金制度や補助金制度、特別貸し付けが実施されています。特に、中小企業を始めとする小規模事業者や、フリーランスを始めとする個人事業主は、こうした制度を積極的に活用していかなければなりません。
ただ、現実問題として、消費の低迷は避けられるものではありませんが、一方で一部の食品関連や流通業などは、大きく売り上げを上げています。
これは、巣ごもり需要によるもので、外食産業の多くが自粛状況のなか、スーパーなどで飲食品を購入することが増えてきたからです。
また、多くの商店も自粛や臨時休業を余儀なくされるなか、外出自粛によりインターネットによる購買が増えてきたことから、それに伴う配送業の需要が高まったことが挙げられます。ともあれ、この状況を維持していく為にも、節約や節制は欠かすことはできません。
また、巣ごもり破たんを招かないよう、様々な援助制度を利用した、支援策にどのようなものがあるのか把握しておく必要があります。
実際に医療従事者の皆さんは、よく健闘しているわね。
医療崩壊を防ぐ為にも、コロナウイルスを終息させる為にも、今は我慢のしどころだね。
一般の人も生活が大変だけど、収束した後に会社がなければ困るわ。
実際に、コロナ倒産も増えてきているんだけど、事業を維持する為の緊急サポート支援も実施されているよ。
新型コロナウイルス感染症関連の企業支援サポート一覧
2020年5月1日現在では、4月30日に新たな支援策の追加が決まり、補正予算案が国会で議決されました。
国民には、一律10万円の給付金が送られるようになりましたが、政府は新型コロナウイルス感染症対策として、現在様々な企業支援サポートを実施しています。
現在、実施されている企業の支援サポートは、日本政策金融公庫と信用保証協会の2通りで、どのような企業を支援サポートがあるのかをご覧いただきましょう。
日本政策金融公庫による企業支援サポート一覧
セーフティーネット貸付
経営環境変化対応資金
業績の悪化に伴う、企業の経営基盤の強化を図る為の融資制度。
金融環境変化対応資金
取引金融機関の経営破たんなどにより、資金繰りに苦しむ事業者の為の融資制度。
取引企業倒産対応資金
取引企業などの倒産により、経営に困難をきたしている事業者の為の融資制度。
企業活力強化貸付
事業承継/集約/活性化支援資金
現経営者が、後継者と共に事業承継計画を策定している方の為の融資制度。環境 / エネルギー対策貸付
社会環境対応施設整備資金
企業の事業継続計画に基づき、災害などの緊急事態が発生した際に、損害を最小限に抑え、事業の継続や復旧を図るなど、施設等の整備を行う為の融資制度。
企業再生貸付
企業再建資金
中小企業再生支援協議会の関与、または民事再生法に基づく再生計画の認可など、企業の再建を図る事業者の為の融資制度。
その他の融資制度
新型コロナウイルス感染症特別貸付
新型コロナウイルス感染症の影響により、業況悪化が続き売上が減少するなど、業績が悪化している事業者の為の融資制度。
生活衛生貸付
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
生活衛生関係の事業者で、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が減少するなど業況が悪化している事業者の為の融資制度。
似た制度として衛生環境激変特別貸付がありましたが、現在はコロナ対応型の特別貸付が有利な状況です。
そのほか
特別利子補給制度
単独で利用するものではなく、前述の新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する小規模事業者及び、中小企業の利用者に限り、融資後3年間利子補給を行うものです。
新型コロナウイルス対策マル経
商工会議所など、経営指導を受けた小規模事業者の、融資制度に対して行われる金利の引き下げ制度。
かなり多くの、支援策が行われているのね。
次に、信用保証協会による、企業に関する支援サポートを見て行こう。
信用保証協会による企業支援サポート一覧
信用保証協会は、国の公的機関で、中小企業が銀行や信用金庫などの民間金融機関に対して、融資を受ける際に保証をする機関です。
セーフティネット保証4号及び5号 /危機関連保証
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高等が減少している中小企業者及び、小規模事業者の資金繰り支援措置。
セーフティネット保証の違いに関しては、4号については最近1カ月の売上が、前年同月に比して20%以上減少といった要件。5号の場合、業種指定があり、2月以降について直近の3カ月の売上が、前年同月比で5%以上減少した要件で、利用可能となっています。
いずれにせよ、4号及び5号案件については、売上高の減少が要件となっており、各地域の市区町村長の認定を受ける必要があります。ほかにも、一部の自治体では、保証料を補助する向きもあり、東京都では新型コロナウイルス感染症対応緊急融資として、融資以外に信用保証料の全額を補助するといった緊急対策を行っています。
また、危機関連保証として、一般保証やセーフティネット保証に加え、更なる別枠の措置としての融資を行っています。申請書に関しては、各該当のホームページでダウンロードできる場合もありますので、各自治体の公式ホームページを詳しくご覧ください。
ここで気をつけて欲しいのは、実際に融資を行うのは各自治体ではなく、銀行や信用金庫を始めとする金融機関であるということです。
したがって、認定を受ける為に、各自治体の窓口に行ったとしても、対応におおわらわで時間がかかってしまうことが予想されます。
緊急時ですので、慌てる気持ちはわかりますが、結局それでは得策とは言えません。そこであらかじめ、こうした金融機関の窓口へと出向き、担当の方からのアドバイスを受けることをお勧めします。
実際にご自分が、利用できる制度はどれが一番よいのか、どの制度を利用するのが会社にとって得策なのかなど、的確なアドバイスがいただけますので、かえってスピーディな対応となる可能性があります。
現在、どの窓口でも、大変混雑が予想されますので、事前にあわてないように心がける事も大切です。
えっと、一つ一つの支援サポートは把握できたけど、すべての会社で借入制度を利用できるということなのよね。
残念ながら、緊急事態ということもあって、判断が難しい業種もあるね。
とりあえず、有利な借り入れができるのなら、すぐに手続きを済ませないと !
ちょっと待ってくれ ! その前に次の項での説明をよく聞いてほしい。
いきなり融資の話に飛びつくのは危険 !
これまでに、ご紹介したコロナウイルスに関連する経営環境変化対応資金は、政府の緊急具体案ということもあって条件も有利であり、売上が減少傾向にある企業にとっては、非常に心強い制度となっています。
ただし、やみくもに飛びつくのは少しお待ちいただきたいと思います。なぜなら、あくまでも緊急措置の融資案であり、有利子負債であることには変わりが無いからです。
もちろん、特別利子補給制度を利用すれば、今回の新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する際に、無利子での借り入れが可能となります。
ただし、これは限定的なもので、数年先には優遇措置が取り払われ、返済とともに利息を支払わなければならないということになるからです。
経済に明るい方であれば、有利子負債月商倍率というものをご存じのことと思います。これは、経営分析指標の中に有利子負債月商倍率というものがあり、有利子負債の金額を月商で除した数値であることを意味しています。
一般的には、この数値が3倍以内であれば、適正とされているものです。つまり、有利子負債への依存度があまり高くなり過ぎてしまえば、元利金の返済により一層経営が苦しくなるという事です。
コロナ収束の未来が確実でない今、悪化した経営状態がいつ回復するのかを見定めておく必要があります。そうして初めて、将来の資金繰り計画まで立ててから、確実なスケジュールでのご利用が賢明なのです。
しかし、社内あるいは、コンサルティングの相談が行える人物が、近くにいれば問題ないのですが、ほとんどの経営者は、身近にそういった人物がいないという場合がほとんどです。
そこで、専門のプロの手を借りて、借り入れの話を進めることをお勧めします。現在、収支計画や経営を、改善する為の計画作りには、経済産業省が認定する経営革新等支援機関といったものがあります。
これは、認定支援機関と呼ばれるもので、こうした機関のサポートを受けることが最も有用です。実際に、収支計画や経営計画に基づき、融資の申請を行う事により、審査上も有利になることは明らかです。
また、これまでの決算内容と、今後の事業展開についても、経営者自らがよく整理しておく必要があります。
なるほど、考えもなしに、いきなり殺到すると、管轄する担当者も大変よね。
実際に、長い行列ができあがっている場所もあるし、何もかも手探り状態なのが問題だね。そこで重要なのが、あらかじめ有用な情報を入手して、事前準備をしておくことが大切になるね。
融資利用に際しての手順を把握しておこう
今現在、どこの自治体も、どの金融機関も緊急の対応策で切羽詰まった状況により、非常に館内が混雑しています。現状では、どの企業でも、コロナウイルスの影響を受け、事業を継続させる為の打開策を模索している最中です。
経営者としても、企業に勤める従業員たちも、政府による支援策は非常に有り難いものです。ただし、こうした特別の制度ができたからと言って、ただやみくもに走ってしまえば、混雑した状況をより一層複雑なものにしてしまいます。
したがって、いま重要なのは、自社の状況を正確に把握し、どの制度に合致するのか、事前準備が非常に大切になってきます。そこでまず、冷静に立ちかえり、資金調達の必要時期と金額を確認することが大前提です。
具体的な計画案としては、まず1年を目安に、当面の資金繰りが予測できる資金繰り表を作成しておきましょう。資金不足の時期と、金額を算出することにより、あらかじめ資金の出入りが把握でき、借り入れの際に書類として提出することにより、審査の面でも必ずプラスに働きます。
次に、様々な融資策が実行されていますが、どの制度を利用してよいのかわからないというケースもあります。例えば、ホテル業や飲食店関連であれば、新型コロナウイルス感染症特別貸付に該当する可能性があります。
対象は、昨年の同月か一昨年の同月と比較して、5%以上減少しているなどです。これに該当しない場合、またそのほかの業種であれば、セーフティネット貸付に該当する場合もあります。
このように、ご自分の会社が、どのような業種に該当しているのかを確認しておく必要があります。次に、売上実績と、見通しの確認を行っておきます。これは、数値要件に合致すれば、その制度が利用できる可能性がある為です。
また、信用保証協会の制度を利用する際には、申込書などを手に入れる必要がありますので、事前にホームページなどで確認しておきましょう。審査に通りやすいポイントとしては、事前資料をもとに、担当者との冷静な話し合いが必要です。
また、相手も大変忙しく、自社の実績と見通しを明確にしておく必要があります。場合によっては、複数の制度が併用できる可能性もあり得ますので、あらかじめ専門家に相談しておくことをお勧めします。
注意事項としては、金利は融資金額と融資期間、そして債務者の状況などから決定される為に、ひとつの目安と考えておきましょう。
よく分かったわ ! 業種によって、どの制度を利用するのか確認をして、計画性を持って実行するという事よね。
とどのつまり、そういうことになるね。
自分で悩んだり、判断できない場合は、専門家に相談するのが一番よね。
こういう時こそ電話だけじゃなく、メールやラインなどを駆使して相談するのがベストだよ。
なるほど、電話はつながりにくいしね。
今は事業を存続させることを重きにおくしかないね。
そうね。コロナ終息まで、何とか乗り切らなくっちゃ !
まとめ
新型コロナウイルスに関しては、一刻も早く治療薬の完成やワクチンの開発が早急ですが、企業の経営者たちは、解雇や雇い止めを防ぐ手立てを考えなければなりません。これまでに紹介した融資制度も含めて、雇用調整助成金制度などを利用して、会社の存続維持を図る手腕が求められています。
以上、冷静に対処したい新型コロナ金融政策関連融資の手順…でした。
\ メリット盛り沢山 /