この記事でわかるポイント
- 資金調達方法にはこんなにも種類があったんだ !
- 資金調達のタイプによってメリットとデメリットがこんなに違う !
- 自社にぴったりの資金調達方法がわかる !
- 今まで知らなかった資産の活用方法で資金調達
- こんなに選択肢があった優れた資金調達方法の数々
新たに会社を興す、運転資金あるいは、設備投資に必要な資金を調達しなければいけない。こうした状況下で、最初に頭に思い浮かぶのが、融資といった資金調達方法なのではないでしょうか。
しかし、融資以外にも様々な資金調達を方法があり、会社の利用目的に応じて損をしてしまうこともあります。実は、資金調達の方法は、あなたが思うよりも、たくさんの選択肢があったのです。
経営者といえば事業家よね。そんなに、資金調達で悩んでいるのかしら。
会社を経営するということは大きな利益を得られる半面、支払いもそれだけ大きくなるんだよ。
じゃ、資金調達の上手な経営者はそれだけ優れた実業家という訳ね。
そういうことになるね。事業資金が足りないと事業を継続する事も出来なくなるから会社にとっても死活問題なんだ。
なるほど。そういう意味でも資金調達はとても大切なのね。
そこで今回は資金調達の方法をできるだけ多く紹介していきたいと思う。
会社にとっての資金調達の方法というと銀行からの借入とか限られているみたいだけど。
それがそうでもないんだ。まずは資金調達の方法には大きく分けて三つの方法があることを理解しておこう。
よろしくお願いします ! 先輩。
資金調達の方法は大きく三つに分類される
事業資金とは会社を興し起業する為の資金であり、事業に必要な機械設備を購入したり事業の運営や仕入れ代金に必要な代金を指します。
ただ単に、会社を設立するだけであればさほど費用はかかりませんが、こうした事業資金を得る為に経営者並びにこれから起業を考える方は真っ先に資金調達の方法を考えなければならないのです。
資金調達の方法でまず真っ先に思い浮かぶのが銀行融資なのではないでしょうか。銀行融資は安心感がある一方で担保や保証人が必要、審査が非常に厳しいとされ、銀行融資に二の足を踏む経営者も少なくありません。特に、中小企業や小規模事業経営者などは審査の過程ではねられることも少なくなく、資金調達に悩む経営者はかなり多いとされています。
もちろん資金調達の方法は銀行融資だけではありません。その他の金融機関を利用した、無担保のビジネスローンなどもありますが、どうしても無担保融資は金利が高めだというリスクがありました。その為、資金調達にはほとほと手を焼いている経営者も少なくなかったのです。
しかし、資金調達が難しいといわれるのは実は経営者の視野が狭いのが、原因と言ったらどう思われるでしょうか。実は資金調達の方法は融資などの借り入れを行う手段だけではなく、ほかにも様々な方法があるのです。
まず初めに資金調達の方法は大きく分けて三つに分類されるということです。冷静に資金調達の手段を考える上で、どのような資金調達方法があるのかは、経営者であれば知っておかなければならないものです。
そこで最初に挙げるのは、アセット・ファイナンス(Asset finance)といった手段です。アセットとは、資産を意味する言葉で、資産を何らかの形で資金に変える方法です。
次にデット・ファイナンス(Debt finance)は、会社の負債によって資金調達を可能にする方法で、融資やローンのように借り入れを行うことになります。
最後にあげるのは、エクイティ・ファイナンス(Equity finance)という手段です。エクイティは資本という意味で、会社の資本による資金調達の方法となります。
このように資金調達といっても大きく分けて三つの手段に分けることができます。したがって、融資だけに頼らず、様々な資金調達の方法を模索してみるのも経営者の手腕と言えるのではないでしょうか。
なるほど。資金調達の手段は、この三つに限られるのね。
限られるわけじゃないけど代表的な資金調達の方法はこの三つの方法で行われているんだよ。まずは、会社の資産を利用した資金調達方法を見ていこう。
アセット・ファイナンス
会社保有の資産売却による資金調達
不動産・自働車・有価証券・機械設備・権利(営業権 / 商標権 / 特許権)あくまでも、会社の保有する資産ですので、経営者個人の所有する資産とは異なります。
保有在庫の買い取りによる資金調達
過剰な在庫は、黒字倒産の原因にもなりかねません。また、管理面や保管コストもかかり、仕入れ代金だけが膨れ上がってしまいます。したがって、利益が出るでないにかかわらず、不要な在庫は売却する事はコストダウンにもつながります。
売掛債権の売却による資金調達
企業間取引で行われる売掛金の支払いは、一般的に30日から60日以上の支払いサイトがあります。この支払いサイトを前倒しし、資金調達できるのが、売掛債権の売却によるファクタリングです。
セール&リースバックによる資金調達
会社保有の資産売却による資金調達は、ともすれば会社の運営ができない結果ともなりかねません。例えば、自動車や不動産、機械設備などは、会社の事業に必要不可欠なことも多く、そのようなときにセール&リースバックという手段をとります。セール&リースバックは、いったん売却したのちに、リースに切り替えるといった手法で、月々のリース代は必要となりますが、一括売却による資金調達を可能とします。
不動産リースバックによる資金調達
これも、リースバックの手法なのですが、例えば持ち家を売却して、そのまま賃料で住み続けるといった方法です。まとまった資金が得られ、後日買い戻すといった手段も可能です。
営業権の売却による資金調達
企業が開拓した顧客網 /特許 /ライセンス/商標/開発権を売却するといった手段です。こうしたものが無い場合でも、無形資産として売却することで資金調達が可能です。
債権回収による資金調達
債権回収を積極的に行う事により、未回収分の売上となる資金調達が可能になります。
保険積立金を取り崩す
法人の場合、様々な保険に加入しているケースも多く、これを見直すあるいは取り崩すことにより資金を得ます。
オフィス敷金の回収による資金調達
オフィスなど、賃貸契約を結ぶ会社も多いかと思いますが、契約完了時に交渉により敷金を取り戻すことも可能です。また、毎月の家賃を数%割り増しする代わりに、敷金の返却を求めるといった交渉も可能です。
経営者への貸付・仮払金を回収した資金調達
企業にもよりますが、経営者あるいは役員が、会社からお金を借りているというケースもあります。債権の回収は、役員の報酬や退職金からも徴収可能で、こうした債権の回収により、資金を得るという手段です。
これまでに紹介した通り、アセット・ファイナンスによる資金調達方法は、会社にダメージを与えないといったメリットがあります。また見方によっては会社及び事業の見直しにもなりますので、全体的なコストダウンを図ることも可能です。
いざという時に、資金調達が可能なように、こうした見直しを常に検討しておく必要があるでしょう。
確かに会社の不要な財産を売却することでスリムアップにもつながるわね。
資金調達にも利用可能だけどトータル的な事業の見直しという点でもぜひ検討しておきたいものだね。
経営改善ね。
次にポピュラーな資金調達の手段として借り入れによる資金調達方法を見ていこう。
デット・ファイナンス
デット・ファイナンス(Debt finance)による資金調達は、すべて会社の負債として、扱われるという特徴があります。つまり、利用する際には必ず、返済の義務が生じてしまうということを頭に入れておかなければなりません。
公的融資による資金調達
公的融資は国や地方公共団体などの制度を利用する融資のことです。
政府系金融機関には日本政策金融公庫や商工組合中央金庫があり各地域には独自の地方公共団体の制度融資などがあります。
また信用保証協会の保証付融資は金融機関の融資に対して信用保証協会が保証する形を取るタイプの融資です。公的融資の特徴は銀行融資と比べてもさらに金利が安いという特徴がありますが、審査も厳しく時間もかかり、個別対応などを行う事はありません。
銀行融資での資金調達
最もポピュラーな資金調達方法ですが、融資のタイプには信用保証協会の保証付融資とプロパー融資がメジャーと言えるでしょう。
銀行融資は審査が厳しいと言われますが、信用力の低い企業であれば信用保証協会の保証付融資、そして信用力の高い企業であればプロパー融資を利用するのが一般的です。
ビジネスローンでの資金調達
無担保 / 保証人なしで審査も比較的甘いといわれるのが、このビジネスローンです。
ビジネスローンは銀行での取り扱いも行っていますが審査が甘いとは言えず、実質的にはノンバンクと呼ばれる消費者金融及び事業者金融での取り扱いとなります。審査が甘い半面、金利が高いというデメリットがあります。
手形割引による資金調達
手形割引とは、約束手形の期日前に現金化するという方法です。
原則として、手形での取引が行われている必要がありますが、手形割引が可能なのが銀行と専門のノンバンクで手数料を支払い現金化する必要があります。ただし、手形が不渡りになった場合、買い戻す義務があるというリスクがあります。
商い取引を前払い方式にする
手形取引の場合、売掛先が不渡りを起こしてしまった時には連鎖倒産といった危険性がある為、最近では信用取引による支払い方法が主流となっています。
また同様に取引を現金払いで行う企業も増えてきており、前払い方式での取引も多くなっています。前払い方式は、キャッシュフロー改善に大いに役立ちますが、取引先の承諾がなければできません。
社内預金制度を利用する資金調達
会社によっては社内預金制度が確立されている会社もあります。単純にこの預金制度を利用して資金調達を行うといった方法です。
現在、デフレ状況ということもあり、銀行預金は利息がかなり低いのですが、銀行の金利よりも高く設定しておけば社員も納得というものです。逆に会社側は銀行から借りるよりも安く借り入れが行えるわけですからかなり有用な資金調達方法と言えます。
流動資産担保融資による資金調達
流動資産担保融資は、ABLと呼ばれるもので流動資産を担保とした融資の事をいいます。商品あるいは、在庫や原材料など、流動資産として利用することにより、効率的な資金調達が可能となります。
売掛債権担保路融資による資金調達
売掛債権を担保にした融資のことで、債権譲渡登記を行うところもファクタリングとよく似ていますが、こちらは売掛債権を担保にするローン商品となります。
不動産担保ローンによる資金調達
企業が保有する不動産を担保にして行う融資のことです。担保にできる不動産は2番抵当でも可能で、親族が保有する不動産でも借り入れを行うことができます。
法人カードでのキャッシング
小口の資金調達ならカードを利用したキャッシングも資金調達の一つの手立てとなります。
そのほかにも、金利の安い金融機関に借り換える【借り換え】、すでに実行済みの融資を、返済計画の見直しを行う【リスケジュール】、企業同士で共同の信託会社を設立する【コミュニティ・クレジット】、身内や知人などから社債を募る【少人数の私募債】などがあります。
かなり種類が多いわね。
そうだね。多くの金融機関はお金を借りてもらうことで事業として成立している企業も多いから。
あくまでも借金になるから返済計画はしっかりと行っておかなければならないわ。
その点、僕たちが家や車を購入するときのローンと仕組みは同じだね。
契約不履行は、将来の事業発展に大きな痛手となりかねないから返済計画は滞りなくやっておかなければならない案件なんだよ。
うん、そうだね。
では次に会社の資本を利用した資金調達方法を見ていこう。
エクイティ・ファイナンス
エクイティとは資本の事で、企業資本による資金調達がエクイティ・ファイナンスと呼ばれる方法です。融資などの借り入れや企業の資産の売却を行わない為、ダメージが少ない手段ですが、それなりの条件もあり、少なからずリスクもある方法です。
第三者割当増資による資金調達
一般の方にはあまり聞きなじみのない第3者割当増資ですが、いわゆる企業の新株発行増資のことを指します。
株式は、第3者の出資金により資金調達を行うもので、増資により資本金も増大するといったメリットがあります。ただし出資比率のこともよくよく検討しておく必要があります。
ベンチャーキャピタルによる資金調達
ベンチャーキャピタルはベンチャー企業に出資して利益を上げる投資専門会社のことです。実際に出資を受ける為には、将来性がある企業など様々な要素が必要ですが、必要な資金を援助してもらうことが可能です。
エンジェル投資による資金調達
個人投資家による資金調達方法ですが、基本的にはベンチャーキャピタルと同様のシステムです。
新株予約権による資金調達
ストックオプションとは、前もって設定した価格で、企業の新株を購入できる権利のことを言います。金融機関からの、借入に利用することも可能で、社債と一緒に発行する事も可能です。
従業員持ち株会による資金調達
従業員たちが、毎月一定額の購入資金で、会社の持ち株を購入する制度です。給与から天引きも可能ですが、会社の業績が良くなければ配当も得られず、社員に不満が生じることもあります。
中小企業ファンドによる資金調達
ベンチャーキャピタルが、設立する投資事業有限責任組合のことで、この投資会社が、目的に合わせたファンドを組成し、投資家から投資を募ることになります。
クラウドファンディングによる資金調達
インターネットを活用する新たな投資の形で直接個人投資家から出資を募る仕組みとなります。
ネット上からの投資の募集で不特定多数から簡単に出資を受けられる上に少額から高額の資金調達が可能です。将来的には未知数の部分もありますが、中小企業のエクイティ・ファイナンスの革命的な方法になるポテンシャルがあります。
M&Aによる資金調達
M&Aは事業譲渡とされるものですが子会社の一部あるいは株式の一部、または事業を丸ごと売却することも可能です。
株式公開/上場による資金調達
起業家の目指す最終目標が株式公開とその上場です。上場すれば、株式市場で自由な売買が行われますので、大きな額の資金調達が可能となるわけです。
以上が、資金調達の手段となりますが、大きく分けて資産の売却 /借り入れ/出資を募るの三つに分けられることが、お分かりいただけたかと思います。
また、資金調達方法として、それ以外の方法【補助金及び助成金を利用した資金調達】があります。
これらは昨今緊急コロナ支援策で大きくクローズアップされているもので、国や地方公共団体が政策のひとつとして企業や国民を支援する制度です。
条件や用途は限られますが、返済の必要性がありませんので、場合によっては資金調達の大きな力になってくれるはずです。
エクイティファイナンスも、かなり種類が多いわね。
会社の資本を利用するから資産の売却や借り入れとは異なってダメージがさほどないのが特徴だね。
じゃ、この方法が資金調達では一番なのね。
そうとも限らないよ。例えば出資してもらうのであれば企業にそれだけの魅力がなければ誰も投資はしてくれないよ。
そうなんだ・・やっぱりここでも経営者の手腕が評価されるわけね。
そういうことになるね。いずれにせよ多くの資金調達方法を知っておくことで様々な難問にも対処できるんだ。
確かに そうね!こんなに多くの資金調達方法があったのにはびっくりだけど。
資金調達の手段は会社の状況に応じて選択するのがベストだよ。
なるほど。よくわかりました !
まとめ
いかがでしたでしょうか。事業資金の不足は黒字倒産の大きな一因ともなっています。
資金調達の確保は経営者にとって非常に困難な案件の一つですが、35種類以上もの手段がわかっていれば、いざという時には必ず役に立つというものです。どの資金調達方法にするのかは、よく会社の現状を見据えて、選択することも経営者の手腕です。
以上、【2020年決定版】すべての資金調達方法を網羅する!…でした。
\ メリット盛り沢山 /