この記事でわかるポイント
- 経営難に陥ってしまっても資金調達の方法はある
- 経営者がブラックでも借り入れできる可能性は残されている
- 金融ブラックになってしまう理由がよくわかる
カードローンやキャッシングが自由に行えるようになり、私たちの生活も随分と楽になってきました。こうした借入金は、いわば借金となるものですが、まとまったお金を手にしたり、高額な商品を購入できることで、生活が豊かになるメリットは計り知れません。しかし一方で、返済不能に陥ってしまえば、社会的にも信用を失うことがあります。
そういえば、このあいだ友人と会った時、限度額いっぱいに借りて、困っているという話を聞いたわ。
借りるのは、良くないとは言わないけれど、あまり借り過ぎるのは問題だね。
ブラックリストに入れられちゃうと、大変だからね。
ところで、そのブラックリストだけど、意味をわかって使っているの ?
うーん、返済不能に陥ってしまった人のことよね。
実はブラックリストは、金融ブラックとも呼ぶもので、個人の信用情報が登録されてしまうことを意味するものなんだ。
なるほど、でもいまいち分かりにくいわね。
そこで今回は、この金融ブラックに関して、解説していこうと思う。
普段、お金のことで気をつける意味でも、知っておきたいわ。
では早速、金融ブラックに関して説明してみよう。
よろしくお願いします ! 先輩。
目次
金融ブラックとはいったい何 ?
ブラッグと聞くと、何やらダークなイメージがありますが、確かにブラック企業や腹黒など、悪いものやタブーの印象があることは事実です。一方でブラックは、冠婚葬祭などの礼服に用いられ、黒色を好んでファッションを楽しむ方も少なくありません。
しかし、金融ブラックといえば、完全にアウトといってもよいでしょう。金融ブラックとは、ズバリ金銭に関する信用を、自らが失った状況を示すものです。つまり、金融ブラックは、金融関連の用語で、返済不能などに陥った人に対して使用する言葉だったのです。
例えば、私たちに身近な、車や商品などのローンですが、月々に決まった一定額を利息とともに返済する必要があります。
この時、返済不能に陥ってしまい、返済が遅れてしまったり、滞納してしまった際に、信用情報機関に記録されてしまうことを意味しています。金融ブラックや、ブラックリスト入りといった単語はよく耳にしますが、実際には正式にこういったリストがあるわけではありません。
ただし、あらゆる金融機関は、借り入れの審査の際に、必ずこの信用情報機関のデータを参考にしています。つまり、信用情報機関に、こうした滞納や延滞履歴が残っていると、信用できないと判断され、審査に落とされてしまうのです。
こうした状況が、いわゆる金融ブラックと呼ばれるものだったのです。こうした情報は、過去に起こした金銭トラブルの情報が、記録として残されています。
金融機関など、お金を貸す側にとって、こうしたキズがあれば、どうしても貸し渋ってしまうのは仕方のないことと言えるでしょう。国内にある、こうした信用情報機関は、指定信用情報機関CICと日本信用情報機構JICC、そして全国銀行協会JBAの三つが存在しています。
それぞれ、加盟する機関や特徴は異なりますが、客観的な取引事実を表す信用情報といった観点から、支払いの滞納や延滞といった情報は、常に記録として反映されています。つまり、銀行を始め、国内には様々な金融機関がありますが、少なからずこれらの信用情報機関のデータをもとに、借り入れに際して、審査のデータとして用いています。
ただし、滞納や延滞といった情報は、一生涯残るものではなく、原因が取り除かれ、一定の期間を経ることにより消去されていきます。また、1度や2度で、金融ブラックとして、扱われるものでもありません。
私たちの間じゃ、ブラックリストってよく言うけど、金融ブラックが本当なのね。
いや、どちらでも構まないよ。リストそのものが存在してるわけじゃないからね。
個人信用情報という訳ね。
そうだね。いわゆるブラックとは、こうした信用機関に、金融トラブルが記録される事を意味しているんだ。
なるほど、分かりやすいわ。それで、ブラックで登録されると、具体的にどうなるのかしら。
その点については、次の項で詳しく説明するよ。
金融ブラックになるとどう生活が変わるのか
金融ブラック状態になっても、犯罪者ではありませんので、周囲の状況が変わるといったことはほとんどありません。しかし、これまでの生活形態が、変わってくることも間違いありません。では、金融ブラックになると、どう生活が変わってくるのかを見ておきましょう。
- 新規にクレジットカードの契約ができなくなる。
- 以前から保有するカードでも、カードローンでお金が借りられなくなる。
- 住宅や車及び商品を購入する際にローンが組めなくなる。
- スマートフォンなどの分割払いができなくなる。
- 住宅や部屋を借りる際に、保証会社を保証人とする場合審査落ちしてしまう。
- 周囲にブラックの事実が知られれば、職場や家庭で肩身の狭い思いをしてしまう。
日常生活において、金融ブラックになったからと言っても、生活ができなくなるわけではありませんが、上記に示したように依然暮らしていた状況から、一変してしまうことは間違いありません。基本的には、あらゆる借り入れが行えなくなり、商品の購入などの際には、必ず現金払いが必要となってくるわけです。
では、いったいこうした状況が、いつまで続くのでしょう。一生借り入れができないとなると、かなり生活が不便になることは間違いありませんが、自己破産ではなかった場合、自分がどのような状況下に置かれているのか、非常に分かりにくいことは確かです。
例えば、奥さんに家計のすべてを任せている場合、ご主人名義の借金で、本人の知らない間に金融トラブルが、生じている可能性も否定できないからです。
ここで気になるのが、どのくらいの延滞や滞納で、金融事故になってしまうのかという点です。そこで、金融ブラックになる条件、といったものを詳しく明記しておきます。
金融事故でブラックリストに載る条件
- 5年以内にカードやローンの返済を、61日以上長期延滞したことがある。
- 3ヶ月連続で、繰り返し返済が遅延したことがある。
- 奨学金を滞納してしまったことがある。
- スマートフォンの分割払いの際に、返済金を滞納してしまったことがある。
- カーリースなどの滞納があった。
- 5年以内にカードの強制解約を受けたことがある。
- 5年以内に債務整理を行った。
- 10年以内に自己破産を行った。
こうした条件に当てはまる場合、金融事故履歴として5年から10年間、個人信用情報機関にこれらの情報が保管され、いわばブラックリスト入りとなるわけです。ブラックリスト入りしてしまえば、新規の借り入れはもちろんのこと、新たにカードを作る事もできません。なぜなら、カード会社から、返済能力が低いとみなされるからです。
なるほど、金融事故履歴として、こうした情報が記録される訳ね。
注意しておきたいのは、事例によっては、トータルで判断されるから気をつけよう。
そうね。3カ月前のことも忘れてしまうのに、5年前のことじゃ、よほど気をつけておかないとね。
と言うか、月々の支払いを忘れないようにした方がいいかも。
アハハ、たしかに !
実は、この金融ブラックだけれど、何度か延滞してしまっても、金融ブラックとして登録されないケースもあるよ。
へーえ、そうなんだ。
金融ブラックになるケースとならない延滞
一般の方で、ブラックリスト入りしてしまうケースが多いのは、無理な借り入れによる返済能力オーバーに至ってしまったケースです。つまり、前項で説明した、5年以内にカードやローンの返済を、トータルで61日以上長期延滞したことがある。3ヶ月連続で、返済を遅延してしまった。といったケースに当てはまる方です。
また、学生に多いのが、スマートフォンの分割返済と奨学金に関する、延滞が生じてしまったといったケースです。返済に関して、無頓着な方もいらっしゃいますが、何度も滞納してしまえば、ブラックリスト入りは確実。支払いは、確実に毎月行っていく必要があるのです。延滞に関しても、5年間のトータルで計算されますので、いつの間にかブラックリスト入りしてしまった、といったケースも少なくありません。
こうしたケースに該当される方は、自分が金融ブラックになったのか、自身では判断しにくいものです。そこで、自分が金融ブラックであるのか確認するのには、いくつかの方法がありますので、ここで挙げておきましょう。
- JBA/JICC/CIC、いずれかの情報信用機関に対して、必要な書類や届け出を行う。
- 消費者金融系マスターカードのWEB診断を利用する。
特に、消費者金融系の、WEB診断はすぐに実行できますので、かなりお勧めの方法と言ってよいでしょう。また、支払いが遅れたからと言って、すべての返済や支払いについて、金融ブラックが適用されるわけではありません。
そこで、分かりやすいように、延滞によりブラックリスト入りしてしまうタイプと、ブラックリスト入りしないタイプを記載しておきます。
スマホも、金融ブラックの可能性があるなんて、ちょっとビックリだわ。
実は、スマートフォンの購入も、一括払いでない限り、分割返済の形を取っている立派なローンの一つなんだ。
つまり、ローンの形で延滞してしまうと、危険だよということかしら。
大まかに言えば、そうだね。
金融ブラックになる可能性のある支払い延滞
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- ビジネスローン
- 教育ローン
- ブライダルローン
- カードローン
- フリーローン
- クレジットカードによるキャッシング
- カーリース・奨学金
- 携帯電話の分割払い
- そのほかの借入金
金融ブラックは、個人信用情報の欄に「異動」と記されることで、ブラックリスト入りする為、金融事故情報の事を異動情報とも呼びます。
奨学金も対象なのね。
奨学金も、一つの融資の形だからね。
次に、支払いが遅れても、金融ブラックにならないケースを紹介しよう。
金融ブラックにならない支払い延滞
- 短期間のカード料金延滞
ただし、一度だけであれば、金融事故情報には記載されませんが、返済遅れを表す記号「A」が記録されます。また、1年間に3度以上、クレジットカードなどの返済を延滞してしまうと、頻繁に問題を起こす人だと判断されてしまい、結果として信用力を失います。
- クレジットカードの年会費支払い延滞
ただし、延滞を理由に強制解約された場合、JICCに強制解約の記録が残ってしまいます。
- 公共料金や家賃などの支払い延滞
ただし、クレジットカードを用いて支払いを行っている場合、過度に延滞した際にはブラックリスト入りしてしまいます。
- 過払い金返還請求
- 税金の支払い滞納
住民税や所得税の滞納、国民年金や健康保険の滞納
- そのほかのケース
NHK受信料の滞納やインターネットのプロバイダー料金の滞納、新聞や家賃などの滞納 ただし、カード払いで支払っている場合は、その限りではありません。
このように、基本的には、借入金を行っている件に関して、金融ブラックといったケースが発生します。
よくわかったわ。カードで支払いをしている人は、気をつけなければいけないわね。
金融ブラックにならないといっても、滞納してしまうと何らかのペナルティーはあるよ。
金融ブラックが、怖いのは分かったけれど、その状態はいつまで続くのかしら ?
その件については、次の項で説明するよ。
金融ブラックは基本的に永続的なものではない
金融ブラックの話とは別ですが、注意しておきたいのは、新規カード申し込みの際に、3社以上に同時に申し込みを行ってしまうと、金融ブラックと誤認されて審査が通らないといったケースです。
また、個人情報機関は3社ありますが、まれなケースではありますが同姓同名で、間違って金融ブラックに登録されてしまうといったケースがあることです。先に述べた通り、ご自分が金融ブラックに登録されているか否かは、開示申請を行うことにより知ることができます。個人信用機関は、各取り扱いが異なるという点もあり、その役割とどのタイプに属しているのかを紹介しておきます。
・CIC(割賦販売法および貸金業法の信用情報を管理)支払い延滞の情報を5年、任意整理の情報を5年、自己破産の情報を7年記録している機関です。確認情報→ クレジットカードに関する個人信用情報を確認申請したい場合。
・JICC(日本信用情報機構)任意整理の情報が5年、自己破産の情報が5年、強制解約の情報が5年記録される機関です。確認情報 →キャッシングなどの金融事故情報を確認する場合
・KSC(全国銀行個人信用情報センター)延滞の情報が5年、代位弁済の情報が5年、任意整理の情報が5年、自己破産の情報が10年間残される機関です。確認情報→金融機関からの借入内容や、支払状況を確認したい場合 このように、各個人信用機関は、ローン関連/クレジットカード関連/銀行融資関連とそれぞれ、分けられた個人信用情報が記録されていることになります。基本的には、個人信用情報の記録期間が過ぎると、これまでの記録が消去されることになります。
注意しておきたいのは、この三つの機関で、個人信用情報が共有されているという点です。したがって、いずれかの機関に、金融事故記録が残されていれば、新規の借り入れやクレジットカードの作成時などに、審査落ちしてしまうことになるわけです。
また、もう一つの注意点として、基本的に各機関の個人信用情報は、一定期間で消えることになりますが、一部のケースについては情報が残り続けるということです。これは、社内ブラックと呼ばれるもので、クレジット会社のデータベースには、独自のブラックリストが存在しています。この情報は永久に残り続けるもので、自己破産が決定した瞬間に、社内ブラックリスト入りしてしまいます。
なるほど、5年から10年の間、記録が残されるということね。
ただし、滞納したままだと、さらにその期間延長されるから注意が必要だよ。
お金が借りられなくなるのは、かなり致命的ね。
確かにそうなんだけど、全く借りられなくなるということじゃないよ。
金融ブラックでも資金調達は可能
これまでに説明した通り、金融ブラックに登録されてしてしまえば、借り入れが一切行えないことになります。これは、会社の経営者も同様で、資金繰りに困っている際に、借り入れが行えないのは、事業継続に大きな支障を及ぼすことは間違いありません。融資が途切れてしまえば、運転資金の不足により、結果的に倒産に至ってしまいます。
一般の方でも、金融ブラックに陥ってしまえば、あらゆる支払いが現金払いとなりますので、基本的に高額な買い物はできないということになります。では、金融ブラックでも、資金調達は可能なのでしょうか。基本的には、ブラックリスト入りしてしまえば、金融機関での借り入れは一切行えなくなります。
なぜなら、信用取引に関する審査が、一切受けられなくなってしまうからです。審査もほどほどに、簡単に借りられるとしたら、それは貸し金業法に該当しない、「闇金」だったという可能性が高くなります。しかし、金融ブラックであっても、資金調達ができないかといえば、決してそうではありません。
というのも、一定の条件にあてはまる方であれば、融資の可能性が残されているからです。例えば、日本政策金融公庫の融資制度ですが、クレジットなどの遅延を、過去に繰り返してしまい、金融事故として登録されてしまった方でも、直近1~2年の間に問題がなければ、日本政策金融公庫の融資が通るケースもあります。
ただし、残念ながら、自己破産や個人再生、特定調停などの債務整理をした方は、こうした審査の対象外となります。また、有効な資金調達方法として、ファクタリングが近年注目を集めています。ファクタリングは、金融ブラックであっても資金調達が可能で、最近の債権法の改正により、これまでよりも資金調達が行いやすくなりました。ファクタリングは、売掛金を債権として、ファクタリング会社に売却するものです。
一定の掛け目や、手数料は必要となりますが、借入金とはなりませんので、金融ブラックの方でも問題なく契約が可能です。最近では、将来債権に対応する業者も増えてきており、まとまった資金も調達できるようになってきました。また、共感を得て出資を募るといった方法に、クラウドファンデイングといった手段もあります。
ちょっと質問だけど、こうした資金調達は、個人でも可能なのかしら。
ケースにもよるけど、個人でも可能だね。
ファクタリングなんかは、給料を対象としたファクタリングサービスがあるからね。
なるほど、よく勉強になりました。
ブラックの対応策なんだけど、一番いいのはブラックリストにならないことだよ。
ハイ ! お金の管理はきちんとやります。
まとめ
ご家庭では、奥さんにすべての家計を任せている、といったご主人も少なくありませんが、場合によっては本人がいつの間にか金融ブラック登録されていた、といったトラブルも少なくありません。金融ブラックでも、資金調達の方法はいくつかありますが、できればお金の管理は第3者に任せず、自分自身できちんと管理することをお勧めします。
以上、経営者がブラックでもOKな資金調達方法はある !…でした。
\ メリット盛り沢山 /