この記事でわかるポイント
- 不動産担保ローンについてしっかり理解できる
- 不動産担保ローンの資金用途は幅広く、利用可能なので利便性が良い
- 通常の無担保ローンに比べると、低金利での融資が可能である
企業の経営者として長く事業を続けていく事は、その手腕を評価されることにつながります。しかし、若くして成功を収めたのならまだしも、ほとんどの方は一定の社会経験を経て、経営者の道をたどるのではないでしょうか。しかし、経営者として一番の難題は、なんといっても「事業資金をいかに調達していくか」にあるのです。
先輩 ! 少し、相談したことがあるんですけど。
どうしたんだい。
実は先日、祖父が亡くなり、長男の父が実家を引き継ぐことになったんですけど、祖父の実家がかなり遠く、持て余しているんですよね。
いっそ、売ってしまった方がよいのかしら ?
最近、よくそんな話を聞くね。もし、これから会社を興す、あるいは事業資金が必要なら上手に活用する方法はあるよ。
そうなの ?
それじゃ今回は、不動産を上手に活用する、事業資金の調達方法を解説してみよう。
助かります ! 先輩。どうぞ、よろしくお願いします。
それじゃあまず基本中の基本、事業資金について説明するよ。
そもそも事業資金とは何 ?
会社を経営していく上で事業資金が必要不可欠なことは、誰しも認知している事でしょう。しかし、企業経営で必要な事業資金には、二つの種類があることをご存じでしょうか。まず、ほとんどの方が、最初に思い浮かべるのは、やはり運転資金のことでしょう。
運転資金は、事業を継続させる為に必要不可欠なもので、商品を販売している会社であれば、仕入れ代金がこの運転資金にあたります。運転資金は、日常的に事業を継続させる為に使われるもので、役員や従業員たちの給与も運転資金にあたるものです。また、事業を継続するのに欠かせない光熱費・家賃も含まれ、ほかにも出張費などの旅費も運転資金として含まれるものです。
また、デスクワークで必要なパソコン・電話などですが、これら通信費も事業を行う為に継続して必要となる費用です。では、もう一つの事業資金とは、いったいどんなものなのでしょう。実は、これも事業を継続していくにあたり必要不可欠なもので、前後しましたが設備資金と呼ばれるものです。
設備資金はその名の通り、事業を行う上で必要な設備を整える為の費用で、前後したと書きましたが、これは初期投資にかかる費用だからです。具体的には、事業を行う上で必要な機器や、機械類などがこれにあたります。当然ですが、オフィスを始め、各店舗などにかかる費用など、不動産などの登記にかかる諸費用は、すべて設備資金にあたるものです。
ほかに、設備資金にあたるものとして、デスクワークに欠かせないパソコンや関連ソフト、コピー機や電話機器などのオフィス用品も、これらの経費に当たります。この設備資金の特徴は、起業する際には最初に用意しておかなければならないもので、経理上は減価償却していくものが多いという点です。
つまり、一定の期間で買い替えが必要になるものですので、計画を持った設備投資をしていく必要もあります。この、設備資金と運転資金の二つですが、融資を受ける際には、この比重が重要なポイントとなってくることを覚えておきましょう。具体的に言えば、運転資金よりも、設備資金の方が融資が通りやすいという点を、チェックしておきましょう。
事業資金には、設備資金と運転資金の2つがあるのね。
そうだね。運転資金は常時必要となるけど、設備資金の場合は減価償却対象だから、計画性を持って定期的に投資していく必要があるんだ。
こうして解説してもらえると、かなり分かりやすいわ。
良かった。事業を行っていく上では、事業資金は欠かせないものなんだ。
問題は、資金調達の方法よね。
そういうことになるね。一般的に、資金調達方法として、行われているのが融資といった方法なんだけど、いくつか注意しておく点もあるんだ。
融資を受けるにあたり注意するポイント
まず基本的な話として、融資に際しては必ず借入限度額というものが存在するということです。また、担保や保証人も必要となることも多く、自己資金の金額により、借りられる額も変わってくるということです。
現在は、創業時の融資として、日本政策金融公庫の融資があまりにも有名です。一般的な融資は、必要な資金の使い道を明確にしておかなければなりません。事業資金の項で説明した通り、事業資金には設備資金と運転資金の二つがありますが、実は融資に際してこの二つの性質は異なるということです。具体的に言えば、設備資金は返済期間が長いのに対して運転資金の場合は返済期間が短く設定されているという点です。
通常、運転資金の場合、返済期間は5年以内となっており、設備資金融資よりも返済期間が短く設定されています。つまり、返済額のことも考えて、よくよく確認しておく必要があるという事です。要するに、融資を受ける際には、設備資金と運転資金の比率は重要で、安定した事業を行っていく為にも、重視しておかなければならないポイントだというところです。
なぜならば、そもそも開業当初は、売り上げも少ない場合が多く、資金に余裕がないことが考えられるからです。個人事業主であれば、なかなか相談先が見当たらないというケースも考えられますので、最寄りの相談所など、税理士などの知恵をかれるのも一つの手です。さらにもう一つ、注意するポイントとしては、返済開始期間に余裕を持たせるという事です。
通常、融資の形をとっていれば、契約後翌月からの返済となります。しかし、前述したとおり、起業したての場合は、売り上げも少なく、取引先との契約次第では、入金が数カ月先ということもよくあることです。
ミスしやすいのが、返済する事に固執してしまい、資金が無いのに返済を進めてしまうことです。というのも、特例として返済は、半年ほど遅らせる事も可能だという点です。無理に返済をしてしまうと、かえって資金難に陥ってしまい、自らの首を絞めるということになりがちです。
そこで、多少なりとも売り上げが安定するまでは、余力を持った返済スケジュールを組むことをお勧めします。つまり、できるだけキャッシュは手元に残し、支払いをできるだけ遅くスタートさせることが、ビジネス成功のカギとも言えます。
へーえ、利用用途によっては、返済が早まる場合があるのね。
会社によって、事情は異なるから、これといった方法はないんだが、ある程度シミュレートしておく必要があるね。それじゃ、今回の問題となる、不動産担保ローンについて解説していくよ。
お願いします。
不動産担保ローンのメリットとは
不動産担保ローンは、不動産を担保とする融資の事で、通常の融資よりもかなりメリットが多いのがその特徴です。最近では、少子化及び核家族化の影響もあり、社会に出ると親元から離れて暮らすスタイルが一般的となってきました。
子供たちは、個別で地域を離れて就職し、そのまま家庭を持ち、生活を送っている事は今では決して珍しいことではありません。しかし、親御さんが土地や家屋を持ち、その後遺産相続などで家や土地などの財産を引き継いだとしても、離れた場所では活用できず、持て余してしまうこともざらにあります。こうした不動産を用いて、有効的な資金活用を行おうというのが、不動産担保ローンの考え方といってもよいでしょう。
では、この不動産担保ローンのメリットは、どのようなところにあるのでしょう。まず、通常の融資とは異なり、担保となる不動産の価値によっては、高額な借り入れが可能だという点です。当然の事ですが、不動産にはそれぞれ価値があり、流動性を重視した審査が行われる為、担保価値の高い不動産であればある程、それだけ高額の融資が可能となるということです。
次に、通常の融資では、原則的に資金用途が限定されていますが、不動産担保ローンの場合は、開業資金はもちろんのこと、運転資金や納税資金にと、幅広い対応が特徴なのです。さらに、不動産担保ローンの特徴として、最長で35年までの返済期間が設定できるという点です。
もちろん、借入金の額によって、返済期間は異なってきますが、長期にわたる返済計画により、安定した事業計画が行えます。また、無担保ローンなどと比べてみると、金利が低く設定されているのもその特徴です。
これは、担保となる不動産に抵当権が設定される為、不動産担保ローン会社の方も貸し倒れリスクが低く、それだけ金利に反映される可能性が高いということです。また、通常の不動産担保ローン融資では、前年度の決済が赤字・起業したてで実績がない・税金の滞納によって一括納税を求められたといった場合でも、問題なく融資が可能だという点です。さらに、お持ちの不動産にローンが残っている場合、第2順位以下でも融資を行っているケースもあります。また、親族がお持ちの不動産を、担保として融資を行うことも可能です。
担保がある分、融資も多く受けられるという訳ね。
もちろん、担保にするという事は、利用者にもリスクがあるということを忘れちゃいけないよ。
そうですね。支払いは計画的にというわけですね。
そういうことになる。それじゃ、申し込みの流れを見ていこう。
不動産担保ローンの申し込みの流れとシミュレーション
融資対象となるのは、法人及び個人事業主が可能です。融資額は、300万円から10億円まで可能で、担保となるのは保持する土地や家屋などの不動産となります。また、債権として、抵当建物の火災保険金請求権等に、質権を設定させていただく場合もあります。
一般的な融資などでは、連帯保証人をおくのが一般的ですが、不動産担保ローンの場合、不動産担保を設定しますので、基本的には連帯保証人は原則的に不要となります。ただし、条件によっては、連帯保証人を求められる場合もあるようです。金利ですが、変動金利型の場合、実質年利が15.00%以下に定められています。返済の方法は、元利均等返済と元金均等返済での設定が可能となります。
返済期間は、状況に応じて、1年から35年間の設定が可能で、返済の回数は実質13回から420回とお考え下さい。また、融資に際しては、仮審査と本審査が行われます。仮に、審査が通らなかった場合でも、調査費用や手数料などが請求されることは一切ありませんので、安心して審査を依頼することができます。
ただし、審査が無事に通り、融資実行が決定された場合、融資事務手数料が発生する事を覚えておきましょう。さらに、融資を依頼するにあたり、仮審査は即日で行われ、融資の実行は最短で 1週間程度を見ておけばよいでしょう。不動産担保ローンの特徴は、資金の使途を選ばない為、起業資金や準備資金など、幅広い資金用途にも利用可能です。
不動産担保ローンの流れとしては、現在ほとんどの業者はHPを有していますので、サイトからのメールフォームや電話での相談や申し込みを行います。まずは、相談から始め、返済シミュレーションを実行してみるのが、一番のお勧めです。
シミュレーションでは、毎月の返済額や年ごとの、借入残高などが大まかな数値として、前もって計算しておくのが目的です。これにより、計画的な返済を可能とし、結果安定した事業が推し量れるというわけです。
申し込む際には、実際に来店し、必要書類と所定の申込用紙を提出します。その後、仮審査・本審査と進み、審査が通れば本契約となります。本契約が結ばれれば、融資決定となりますが、実際に現金が支払われるのは、最短でも1週間以上とお考え下さい。
シミュレーションは大切ですよね。
融資やローンは、毎月きっちりと返済していく義務があるからね。
借り入れは計画的にって、よくいいますもんね。
それじゃ最後に、無担保融資と比べてみて、どのような違いがあるのかを見ていこう。
無担保融資と不動産担保ローンの比較のまとめ
まず融資には大きく分けて、無担保融資と不動産担保ローンのような担保融資があります。無担保融資は、銀行を始め、消費者金融や信販会社などのノンバンクがあり、担保なしで融資が行えるのが特徴です。
無担保融資は、担保を必要とせず、手軽に融資を受けることができますが、利用者の信用力をもとに審査を行いますので、高額融資になればなるほど、その審査は厳しくなってきます。また、比較的審査の優しい小口融資ですが、金利はかなり高く、100万円以下の融資であれば、最高金利が適用されている事がほとんどです。借り入れの金利は、利息制限法で定められており、最高で20%に設定されている為、これ以上の利息を取ることは違法となります。
一方で、不動産担保ローンは、平たく言えば「申込者の信用と不動産を担保」とする為、不動産の価値次第では、かなり高額な融資を引き出すことが可能な手段です。なお、前述の通り、担保とする不動産は、本人名義である必要はなく、親類縁者や配偶者名義であっても、担保として提供が可能なのが利点と言えるでしょう。
不動産担保ローンのメリットをまとめてみると、信用力+担保を提供できる為、比較的高額の融資が受けやすく、低金利での借り入れがしやすいということです。したがって、依頼者が保有する、会社の決算状況が悪くとも、あまり審査で重要視されません。デメリットとしては、融資までには一定の期間がかかることと、返済ができなければ不動産を失ってしまうといった欠点があります。
不動産担保ローンの注意点としては、不動産を担保としますので、抵当権や根抵当権の登記が行われるという点です。つまり、前述の通り、返済ができなければ、業者が不動産を競売にかけ、競落された代金から、貸したお金と利息を回収する権利がある、ということを頭に入れておく必要があります。
また、一般的な無担保ローンやキャッシングでは、利息以外に費用がかかることはありませんが、不動産担保ローンの場合はそれなりの費用がかかります。費用としては、事務手数料・不動産調査費用・印紙代・抵当権及び、根抵当権の登記費用などがあります。こうした費用は、借入金によって異なりますが、場合によって数十万円かかることもありますので注意しておきましょう。
やっぱり、無担保融資と比べると、制約は比較的少ないみたいですね。
そうだね。信用+担保での融資だから、比較的高額な融資でも利用できるのが、かなり有利なところだね。
ローンが残っていても、不動産担保ローンを利用する価値がありますね。
ある程度融通がきくから、詳しく知りたいなら、直接業者に相談するのが一番だね。
わかりました。今日は有り難うございました。
まとめ
土地や家屋などは、放置しておくだけでも、固定資産税の対象となります。こうした不動産を有効活用していく為にも、不動産担保ローンはかなり有用な方法になるでしょう。これから起業を考えている、または現在資金調達の方法を模索しているといった方なら、不動産担保ローンを視野に入れておくとよいでしょう。
以上、不動産担保ローンを活用した事業資金獲得法…でした。
\ メリット盛り沢山 /