この記事でわかるポイント
- 意外に病院って儲かっていない商売
- 多い ? 少ない ? 病院倒産の数
- 医療関連に特化しているファクタリングについて
私たち一般人が思い描く花形職業として、様々な分野で活躍するスポーツアスリートやファッション誌でもてはやされるモデルたち、芸能界でもてはやされる芸能人やアイドルなどが思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、長く高収入を得られる花形職業となると、その職種もがらりと一変します。
昭和の時代には、人気ナンバーワンであったパイロット、弁護士や政治家に実業家などはその筆頭に挙げられるものですが、その中で不変の人気を誇るのが医者という職業です。しかし、医師の世界もその実情は、世間が思うほど楽な世界ではないようです。
目次
病院経営における赤字の増大
やっぱり私はお医者さんが一番たな。
それはどうして ?
ほら、ステータスがあるじゃない。病気も診てもらえるし、第一お金持ちでしょ!
それがそうとも言えないんだな。
どうして ? 医大って相当難しいんだよ。
確かにそうだね。でも、国内の倒産件数で意外と多いのが病院経営の失敗なんだ。
えっ、びっくり !
それじゃ、今回は病院経営の内情について詳しく解説していこう。
よろしくお願いします ! そこのところ詳しく知りたいです、先輩!
多くの方が意外かと思われるかもしれませんが、日本国内の病院経営の状況は、かなりひっ迫した状況が続いています。というのも、病院経営の実情を見てみると、その実態は約半数以上が赤字経営とされており、実は倒産件数もかなりの高水準なのが現在の実情だからです。
普通なら、医師あるいは医者と結婚したと聞くと、同級生が友人は誰しもがうらやむところですが、実際にはそんなに甘いものではなさそうです。近年特に、病院倒産の数も増えつつあり、2019年度上半期ではこれまで倒産した病院の件数が、全国で30件にも達しているといいます。
内訳を見てみると、病院が7件/診療所16件/歯科医院7件にものぼり、年間45件にも達するペースとされています。これには、医療界に与える影響も深刻で、最近ではかつて政財界のVIPや芸能人らが、数多く利用した大病院が倒産したのには驚かされました。
つまり、小さな病院だけではなく、大病院と呼ばれる大規模な医療法人であっても例外ではないということです。この背景にはずさんな経営だけではなく、設備投資の失敗などが挙げられています。しかし、その中でも人手不足や増税の影響もある事は見過ごせない事実なのです。
えーっ、現実はそんなに甘くないんだ・・
ハハハ、医者と聞けば、金持ちのイメージは確かにあるからな。
何か、がっかり・・
その辺をもう少し掘り下げて説明してみようかな。
もう、聞きたくないけれど・・
病院経営に重くのしかかる十字架
私たち一般人のイメージでは、病院はかなり儲かるイメージで、医師も高額の報酬をもらってウハウハだといった印象が強いものです。確かに一昔前までは、病院と製薬会社あるいは政治家の癒着や取りざたされていました。
アメリカなどでは、難しい手術であれば、1件の手術で数千万円以上かかる医療費に対して、執刀する医師に対して支払われる報酬も莫大なものと言われています。しかし、米国と日本では、医療の仕組みが根本から異なっており、日本では診療報酬制度によって医療サービスや薬の値段が細かく決められているのが実情です。
したがって、海外のように、高額な報酬をもらうような医師はほんの一握りで、その実情は食事も当たり前にできないような悲惨な状況があります。特に研修医時代は、過酷な労働問題が深刻化しており、社会的な問題にもなりました。
病院医療の現場は、一般企業のように、サービスを良くするから値上げするなどはできず、自主的に価格を上げるということも不可能に近い状態です。かといって、病床の設備投資を行っても、必ずしも満床になる保証はどこにもありません。近年では、医師や看護婦の不足により、稼働率の低下も深刻化しています。
医療を支えているのは医療技術だけじゃなくて、医療機器の比重が高いということなのね。
そういうことになるね。
病院にかかっても健康保険のおかげで、意外と安いと思っているのは私だけ ?
僕たちがさりげなく受けている検診だけど、小さな機器一つ一つが意外と高額だったりするんだよ。
そうなんだ。
最先端の医療機器の導入と消費税問題
医療費の増大は、最先端の医療機器の導入や最新の技術なども大きな影響を与えています。一昔前までは、注射器やメスなど、煮沸消毒やとぎ直しによって再利用していましたが、現在の医療機器や道具のほとんどは、使い捨てとされることが常識になっています。
もちろん、二次感染などによる、衛生面を考慮した上での最善策ですので、決して間違いなどではありませんが、世間のエコロジーの風潮とは、時代が逆行していることは否めません。さらに、この状況に追い打ちをかけているのが、消費税の増税問題です。
医療器具や消耗品など、病院側がこれらを購入する際には、もちろん消費税が含まれており、当然の事ながら今回の増税分もさらに料金に上乗せされることになります。しかしながら、公的保険の医療は非課税の為、病院側としては患者さんに対して、そのまま転嫁できないといった実情があります。
実際問題としては、これら消費税相当分が、医療報酬に上乗せされているわけですが、高価格の医療機器などについては、患者側が購入した際に支払う消費税分が事実上、病院側の持ち出しとなっている現状なのです。つまり、最先端の医療機器をそろえる大病院などにとって、経営を圧迫する大きな要因になっているという事実です。
確かに医療機器はかなり高額だって聞くわね。
最近はCTスキャンマシンも標準設備になっていて、個人病院でも導入されているけど、医療用CTスキャンマシンの値段は安価なタイプでも一台2,000万円程度はするんだよ。
うわ、高っ! 診察料は安いのにね。
そうさ。大きな病院だと、一台数億円って聞くよ。
病院の設備投資はかなり大変ね !
そうだね。それも踏まえて医療報酬の事も少し解説しておこう。
医療報酬や薬剤報酬
以前までは、どこの病院でも病院内での調剤が行われ、病院での診療と薬などの購入が一括で行われていました。現在は、基本的には病院で薬を出すことは少なくなり、代わりに調剤薬局での購入と診療と調剤の分野が別々に切り離されることになりました。
理由は様々な問題によるものですが、現在は両方とも完全に切り離された状態で、ともに医療報酬/調剤報酬といった形で、国の保健機関から後日支払われることになっています。これは、日本の保険制度の根幹であり、海外のように全額負担といった形ではなく、社会保険あるいは国民保険により3割負担などの形で税金によって補われています。
問題なのが、この診療報酬や薬剤報酬で現在の医療の世界では患者側が支払った残りの分を病院側が立て替えていることになります。診療報酬や薬剤報酬はすぐに支払われるのではなく、約2カ月間ほどの支払いサイトがあり、この間病院側が報酬を手にする事は一切できません。
苦しい病院経営を強いられている現場では、支払いサイトの長さは死活問題にまでなっています。また、この背景には厚生労働省による医療費抑制が、根幹にあることを忘れてはなりません。
なぜ診療報酬と薬剤報酬が分けられるようになったのかしら ?
ここでは割愛するけど、一部の病院で儲け過ぎていたという事だけ話しておくよ。
でも支払いサイトが長いのは問題よね。
だからこそ、ファクタリングの存在はかなり大きいと言えるね。
ただし、ファクタリングを利用するうえで注意点もいくつかあるからそこを説明しておこう。
医療報酬ファクタリングの有用性と注意点
医療報酬ファクタリングには、その業種によって以下の4つに分けることができます。基本的な仕組みはどのタイプも同様で、国民健康保険や健康保険組合などの国の機関を相手に、3社間ファクタリングで行われます。
医療報酬ファクタリングの4つの種類
- 診療報酬債権
- 歯科診療報酬債権
- 調剤報酬債権
- 介護報酬債権
ただし、一般の3社間ファクタリングとは異なり、売掛先が信頼性の高い国の機関となりますので、ほぼ100%に近い安定した数値で取引きが行われるのがメリットです。こうした報酬は、売掛金が発生してから国の機関から支払われるまで、2カ月近い支払いサイトがある為、医療機関には大きな負担となっています。
2社間ファクタリングのように即日というわけにはいきませんが、数日中に現金化できる為、資金繰りの改善が期待できます。また、信頼できる国の機関が相手ということもあって、手数料もかなり安く、ファクタリング会社によっては0.5%といった手数料の安さが魅力です。
3社間ファクタリングにおいては売掛先相手に知られるといったデメリットがありますが、医療ファクタリングの場合はこうしたリスクがなく、今後の支払いを断られるということも一切ありません。ただし、注意点としては、最大で2カ月分の請求分しか現金化できず、掛け目が70%から90%と設定されていることが挙げられます。
医療報酬には、この四つがあるのね。
そうだね。これらの報酬を債権としてファクタリングを利用するわけだ。
一般的なファクタリングと分けられているってことは、少し何かが違うってことよね?
そういう事になるね。だから、一般的なファクタリングとは異なる専門性が必要なんだ。そこで、医療報酬ファクタリングの事についてもう少し詳しく解説しておこう。
医療報酬ファクタリングについて
医療報酬ファクタリングは、病院関連施設や薬剤薬局/介護関連施設など、国民保険及び社会保険による制度として、わが国独自の補償制度として知られています。つまり、通常我々が認知するファクタリングとは、少し装いが異なっているものということです。
通常のファクタリングが売掛金を債権とした対象なのに対して、医療報酬ファクタリングは社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険から受け取る保険適用分の報酬を対象としたファクタリングということになります。
私たちにとってこうした医療保険は、負担金の減額に大変役立っているものですが、こうした医療機関からしてみれば、数カ月遅れで入金される報酬は、かなりの負担となっていることは間違いありません。
では実際に、こうした医療機関は、どのくらいの割合で、ファクタリングを利用しているのでしょうか。2015年度で見てみると診療報酬ファクタリングに関して言えば、月平均5,500件470億円にのぼり、前年度よりも8%ほどの増加傾向がみられます。
また通常のクリニックや病院、歯科医院/調剤薬局/介護施設のシエアを見てみると、2015年の状況では病院やクリニックで約70%超、調剤薬局で約24%で、歯科が約4%介護関連が0.2%と、介護関連でのファクタリング利用が、かなり少ないことがよくわかります。これは、介護関連事業での、与信の低さが関係しているとされています。
なるほど ! 売掛先が異なっているという点ね。
そうさ。売掛先が国の機関だからファクタリング会社も安心して取引きできるんだよ。
ということは、リスクが少ないから手数料も安くなるわね。
そうだけど全くデメリットが無いわけじゃないよ。
医療報酬ファクタリングにはデメリットがない ?
医療報酬ファクタリングは、手法としては3社間ファクタリングと同様で、ファクタリング利用側の病院とファクタリング会社、そして社会保険及び国民保険など国の機関とのやり取りとなります。売掛先に該当する国の機関は与信情報にほぼ影響を与えませんので、周囲に知られる事なく、また経営力や信用を疑われる心配もありません。
医療報酬ファクタリングが、審査がかなり緩いとされているのも、取引先は社保/国保である為、債権そのものが安全性が高いものとされますので、債権そのものに大きな担保価値があるとみなされているからです。こうした診療報酬は、入金が2カ月近く後になってしまいますが、ファクタリングを利用することで、約1/3ほどの期間に短縮できるところも大きなメリットです。
もちろん、報酬額以上の買い取りを行うことはできませんが、報酬額の規模が大きければ大きいほど、ファクタリングの恩恵は計り知れないものがあります。このように、医療ファクタリングはほかのファクタリングに比べてみるとメリットばかりのように感じますが、実際には全くデメリットが存在しないのでしょうか。
実際には、多少なりともデメリットは存在しています。デメリットとして挙げられるのが、通常の3社間ファクタリングよりも手数料が高めに設定されている所が多いということです。また、現状では、債権の2カ月分がファクタリングの限度額となっている事です。
普通の3社間ファクタリングよりも手数料が高めなんだ。
現状はね。でも、将来的にはもう少し下がっていく可能性もあるよ。
なるほど。
ここまで、医療報酬の事を説明してきたけどファクタリングの流れもついでに説明しておくよ。
医療報酬ファクタリングの基本的な手順が知りたい
メディカルファクタリングとも呼ばれる医療報酬ファクタリングですが、どのファクタリング会社のホームページを見ても、詳しい診療報酬債権の手順があまり記されていないようです。
確かに、一般企業では利用することのない医療ファクタリングですが、医療関係に従事する経営者であれば、少なからずどのような手順で行われているのかを理解しておく必要があります。
そこで、医療報酬ファクタリングに関する大まかな仕組みと、その手順を学んでおきましょう。まず、医療報酬ファクタリングの場合は、このサービスの取り扱いを行うファクタリング会社に、申し込みを行うことから始まります。
基本的な手順は、次の通りとなります。
医療報酬ファクタリングの流れ
- 【レセプトの提出】各社会保険及び国民保険へと、診療報酬債権の提出を行う
- 【申し込み】診療報酬ファクタリング対応のファクタリング会社へ申し込み
- 【査定】各ファクタリング会社への書類の提出
- 【契約】見積もり査定に問題がなければ、必要な書類の提出及び契約を行う
- 【債権譲渡通知】ファクタリング会社により、国保・社保への通知が行われる
- 【契約完了】すべての契約の完了後、平均して3〜5営業日で病院側の指定口座に入金が行われる
- 【ファクタリング会社へ入金】国保及び社保の関連組織から、ファクタリング会社へ直接診療報酬の支払い
最後の項目であるファクタリング会社への入金については、病院側は一切タッチする事はありません。
基本的な流れは3社間ファクタリングと同じよね ?
そういうことになるね。
売掛先が国の機関だからファクタリング会社も安心して契約できるのね。
経営が苦しい個人病院や、新しい機器の導入でまとまった資金が必要になる時には、ファクタリングはかなり利便性の良い資金調達になるのは間違いないよ。
まとめ
医療の現場は、私たちが考えているよりも、かなり厳しい状況が続いているようです。これは、大手の病院や開業医にかかわらず、深刻な問題として捉えられています。特に、報酬の7割近くを、2カ月近くも建て替えていることを考えれば、いつ資金難に陥ってもおかしくはありません。
そこで、上手にファクタリングを活用していくことで、有用な経営改善策として、大いに役立つことになるでしょう。
以上、資金繰りの悪化につながりやすい病院経営…でした。
\ メリット盛り沢山 /