この記事でわかるポイント
- 今話題の給与ファクタリングはこうした仕組み
- 給与ファクタリングのメリットやデメリットがわかる
- 給与ファクタリングに抵触する法律とは
ファクタリングをご利用の方ならご存じのように、ファクタリングは売掛債権の譲渡及び売却により、資金調達を目的としているものです。
当然、会社間取引のある事業者でなければ、売掛債権の発生がない為、個人のファクタリングはありえないものとしてみられていました。
しかし、ここ数年で新たなサービスが開始されました。それが、個人向けの「給与ファクタリング」と呼ばれるものです。個人でも唯一、ファクタリングを可能とする給与ファクタリングですが、果たしてその実態はどのようなものなのでしょうか。
給与ファクタリングね。ここ数年でよく見かけるようになったわ。
そうだね。これまでファクタリングは、事業者向けとされていたものなんだが、給与ファクタリングによって、個人でもファクタリングができると注目されたんだ。
私たちが、毎月会社からいただいている給料は、売掛債権だったの ?
確かに、労働の報酬が給与だから、サービスの提供による売掛金ともいえるね。
なるほど。
実はこの給与ファクタリング、最近金融庁からの正式な見解が示されたんだ。
え、どういう事なのかしら ?
給与ファクタリングの事を知らない人たちのためにも、今回は給与ファクタリングの実態と、新たな見解として違法性に関しても、詳しく解説していくよ。
よろしくお願いします ! 先輩。
目次
給与ファクタリングとはいったいなに ?
給与ファクタリングは、労働の対価としての報酬である給与を、売掛債権としてファクタリングを行うものです。
通常、会社間取引で発生する売掛金は、売掛債権として扱われますが、給与も同様に売掛債権の扱いとなるからです。どの会社の従業員でも、報酬は1か月などの期間を定め、一定期間働いた後に給与として支払われることになります。
あらかじめ、給与の前払いは認められないのが前提ですが、この給料の前払いが給与ファクタリングのシステムとなります。
つまり、本来一定期間働いた後に貰う報酬を、売掛債権として扱い、ファクタリング会社に肩代わりしてもらうことにより、給与の前倒しが可能となるわけです。
給与の支払いシステムが、売掛債権と同様の形である為、こうした給与ファクタリングを可能としました。利用者は、前倒しといった形で現金を受け取り、後日給料を受け取った後に、ファクタリング会社へ入金するシステムとなっています。
当然、ほかのファクタリングと同様に、給与ファクタリングには手数料が発生します。利用者は、手数料を支払い、給与の前借りを行うものですから、当然手数料分の給与は目減りしてしまいます。
一見すると、給料の前借りであり、手数料を支払業者から現金を受け取りますので、借金と同じなのではないかと考えるのは当然でしょう。
しかし、あくまでも形式上は、給与債権の売却となりますので、借金には当たらないという考え方です。私たちが生活していく中で、知人や同僚との付き合いや、必要に迫られた買い物など、急にもの入りになるということはよくあるものです。
しかし、給与ファクタリングの登場で、個人でも借金とはならない資金調達を方法は、利便性の高い現金入手方法として、急速に広まっていくことになりました。
しかし、当然当時から、給与ファクタリングによる問題点が指摘されていました。先に少しふれましたが、給与ファクタリングが実質的には、給料を担保とした借金とほぼ同じような内容ではないかといった指摘です。
給与ファクタリングには、一般的な売掛債権ファクタリングと同様に、3社間と2社間ファクタリングが存在します。どのような仕組みかといえば、3社間ファクタリングの場合、利用者と勤め先の会社、ファクタリング会社の間で取り交わされる契約となります。
会社がファクタリングを認めない場合、契約を行うことはできず、会社側にもファクタリングの利用が知られてしまうデメリットがあります。
2社間の場合は、利用者とファクタリング会社のみで契約しますので、勤め先に知られる事なく給与ファクタリングを利用することができます。秘密裏に給与の前倒しが行えますので、最も普及している給与ファクタリングと言えるでしょう。
ただし、あくまでも給与の前借りであり、勤め先の会社を退社してしまえば、利用することは不可能となります。
また、手数料分目減りしますので、計画性を持って利用していかなければなりません。
給与ファクタリングは、後日受け取る報酬を債権として、扱っているのが特徴なんだ。
給与も債権の一部と考えれば、ファクタリングの対象になるわね。
貸し金業では、ブラックリスト入りしている人は、借り入れが難しいんだけれど、債権の売却であれば問題がないというところも、利用者が増えている要素の一つなんだ。
でも、手数料という名目で、給与が目減りするんじゃ問題よね。
本来入手できない先の給与を、前倒しして現金を受け取るんだから、ある程度の手数料は仕方のないものともいえるよ。
それはそうなのだけど、何か納得がいかないわ。
では、実際に給与ファクタリングで、どんなトラブルが起こっているのかを検証してみよう。
給与ファクタリングによるトラブルとは
ファクタリング業者は、給与債権を売却した対価として、お金を渡しているという名目がある為、お金の貸し借りに関する規制が及ばないという考え方です。
多くの会社では、給与の前借りが認められていないため、こうしたファクタリングの存在は、利便性は高いものとして受け止められました。
ブラックの方でも利用できることから、利用者は増えていく一方です。
ご存じの方もいらっしゃいますが、ファクタリングは、債権法によって定められた、正当な資金調達方法です。
しかし、売却ではなく、借金とみなされる場合、利息制限法や貸し金業法に触れる恐れがあります。銀行や金融機関/消費者金融のように、お金を貸し出す業務は、貸し金業法の適用がなされるため、貸し金業者としての登録を行わなければなりません。
ファクタリングの場合、売掛債権の譲渡及び売却にあたるため、貸し金業者としての登録は必要ありませんでした。
しかし、給与ファクタリングが一般に広まる中、利用者からのトラブルや問題点が増えていきました。
給与ファクタリングによるトラブルは、その手数料の高さにありました。通常、2社間ファクタリングにおいて、手数料20%はあり得る話ですが、給与ファクタリングにこの手数料20%が適用された場合、話はだいぶ違ってきます。
例えば給与が、30万円だった場合、手数料20%は6万円となりますが、手取りは24万円となります。1年を通じて、給与ファクタリングを利用すれば、手数料20%だと年に72万円支払う計算となります。
これは実質、年利240%にあたるもので、貸し金業法に照らしあわせれば、かなり違法性が高いことがお分かりいただけることでしょう。
つまり、現状での給与ファクタリングでは、手数料が常軌を逸するほど高額であるということが言えるのです。一般的なローンやキャッシングでも、最高年利は20%までと、利息制限法で定められています。
しかし、給与ファクタリングにおいては、貸金業でないため、この利息制限法が適用されません。貸し金業でなければ、誰でもファクタリング業務を行うことができますので、これを良いことに悪徳業者が暴利をむさぼっているのです。
給与ファクタリングサービスを行っている業者の中には、悪徳業者が存在し、実際に警察の摘発を受けています。調べると、実際には闇金であったりすることも多く、支払いの取り立てなどに際して、会社や自宅に押し掛けたりと、様々なトラブルが頻発しています。
また、昨今の新型コロナウイルスに便乗し、違法な貸し付けが行われているといった現状もあります。大声での恫喝または、勤務先への連絡といった私生活の平穏を害するような悪質な取り立ては、違法行為になりますので、このような状況にある方は、一刻も早く最寄りの警察か弁護士に相談しましょう。
こうした、給与ファクタリングが広まった背景には、コロナ渦の影響も少なからずあります。政府はこのようなトラブルに対して、迅速に対応をするとともに、給与ファクタリングに対して一つの見解を示すことになります。
最初に言っておきたいんだけど、給料ファクタリングそのものには、現状では違法性は無いとされているよ。
ということは、こうしたシステムを悪用した悪徳業者がいるということね。
そういうことになるね。というのも、ファクタリングは、貸し金業法のように登録制が無いのが原因だね。
登録制にすればいいのにね。
簡単にはいかないね。まず、ファクタリングそのものの、規制法を成立させる必要があるからね。
なるほど、ということは、現状悪徳業者が問題なのね。
年率換算すると、数百%から千数百%になる手数料を支払わされた、といったケースも報告されているよ。
完全に闇金だよね。規制する法律がないから放置されているの ?
そうだったんだけど、こうしたトラブルが頻発するなか、金融庁ではファクタリング事業者に対して、登録の義務付けを検討しているそうだよ。
良い傾向ね。
次の項では、この給与ファクタリングに関する、違法性について裁判所と金融庁の見解を記しておこう。
金融庁による給与ファクタリングに関する公式見解
先頃金融庁では、給与ファクタリングに関する見解として、公式HPでその違法性と注意喚起を促すことになりました。
詳しくは、金融庁HPで確認してほしいのですが、まずは給与ファクタリングに関する公式見解の要点をいくつかまとめておきます。
給与ファクタリングは貸金業に該当
金融庁による公式見解により、給与ファクタリングは貸金業に該当する事になりました。給与ファクタリングそのものに、違法性はありません。
しかし、給与ファクタリングサービスを提供する場合は、貸し金業登録業者でなければ、給与ファクタリングサービスが行えないことになりました。ここでいう給与ファクタリングとは、個人が勤務先に対して有する給与を債権の対象とし、ファクタリングによる現金化を行うものです。
便乗貸し付けに関して注意喚起
最近、新型コロナウイルス融資に便乗し、違法な貸し付けを行うケースがあり、ヤミ金融業者を利用しないように注意がなされています。
このように、金融庁による公式見解では、給与ファクタリングそのものが、貸金業に該当すると定められました。これにより、同様のサービスを提供する際には、貸し金業法による登録が必要となり、登録業者でなければ違法性が問われることになります。
給与ファクタリングの弊害は、先に述べた通り、高額な手数料の支払いにより、本来受け取る金額よりも少ない金銭しか得られなくなるためです。
継続して利用していくことにより、経済的生活がかえって悪化していくことは明らかなことで、生活そのものを破綻させてしまう恐れが示されています。
給与ファクタリングそのものに、違法性はありませんが、計画的に利用していくことをお勧めします。
また、裁判でとり扱われた、給与ファクタリング関連の判例を簡単に記載しておきます。
給与ファクタリング業者が、支払いを怠った債務者に対して支払いを求めた訴訟
この裁判では、訴えた方のファクタリング業者が、請求の棄却を命じられ、訴訟費用のすべての負担も負うことになりました。
この裁判での最大の注目点は、給与ファクタリングの仕組みが、貸金業法や出資法にいう「貸付」に該当すると認定されたことにあります。
そのため、判決は貸し金業者ではない、ファクタリング業者が行った違法な行為とみなされました。結果的に、ファクタリングに該当しないということで、不法原因給付とみなされ、請求無効となり敗訴になったのです。
その後も、同様の裁判が行われましたが、すべてファクタリング会社の敗訴で、違法性のある利息に対して、逆に刑事罰の対象になるとされました。
この結果を受け、冒頭に述べたように、金融庁からの公式な見解がなされ、給与ファクタリングは正式に、貸し金業の登録が必要であることが示されました。
なるほど、ということは給与ファクタリングは、ファクタリングではないという事だよね ?
名称よりも、給与ファクタリングを生業とするのなら、貸し金業の登録が必要ということだね。
ファクタリングそのものの、法律が無いからということかしら。
現状では、そういうしかないね。
でも、給与ファクタリングそのものは、違法じゃないのよね。
現状では、規制する法律がないから、仕方がないといえばわかるかな ?
訴えなければ、白黒がはっきりとつかないということかな。
そうだね。
結局、悪徳業者に引っ掛からないということが重要だよね。
そこで、悪徳業者を判断材料を、今回のまとめとして、いくつかの注目ポイントを挙げておくよ。
それはすごく助かるわね。有り難うございました、先輩。
違法性のある給与ファクタリングには注意 !
手数料の安さにひかれ、ついつい悪徳業者に引っ掛かってしまった、といった方は少なくありません。そこで、そうした違法業者に引っ掛からないためにも、給与ファクタリングに際して、チェックポイントを設けてみました。
チェックポイントに引っ掛かるようであれば、ファクタリングに関して違法性があり、貸し金業の登録がなければ違法性を問うことができます。
契約に関する注意ポイント
- 買い戻し特約が付された契約そのもの
- 回収業務委託契約を締結し、代表者保証や第三者保証を付する契約である場合
- 売買債権以外に、第三債務者の債権を譲渡担保とする契約になっている
- 債権譲渡通知を留保する契約条項
そのほかの違法ポイント
- 償還請求ナシ(ノンリコース)の契約にも関わらず、譲渡人に請求する行為
- 契約が終了したにもかかわらず、債権譲渡通知書を返却せず、流用して送付や回収する行為
- 取引に直接関係のない親族や、会社等に連絡して請求する行為
- 譲渡人を恐喝して、譲渡代金の回収を図る行為
- 個人事業者に対し、債権譲渡登記費用を請求し、支払ったにもかかわらず、領収書を発行しない行為
- 譲受人が、電子内容証明を含む債権譲渡通知書を作成して送付する行為
まとめ
いかがでしたか ? 今SNSでも話題の給与ファクタリングそのものは、決して違法行為ではありませんが、ファクタリング行為ではなく、貸し金業にあたることがわかりました。
契約に際しては、まずはしっかりと読んで、その内容を把握しておきましょう。自分で判断がつかない場合は、最寄りの相談所などに相談するのが一番です。
以上、危険!SNSで話題の前借りを謳う「給与ファクタリング」は違法!…でした。
\ メリット盛り沢山 /