この記事でわかるポイント
- 資金繰りが厳しくなる原因といざという時の対策
- 上手な資金調達の方法
- 返済方法のテクニック
中小企業の経営者の話題に、よくのぼる資金繰りの話ですが、以前は貸し渋りなどの問題もあり、零細企業の融資は特に厳しいとされていました。
しかし、突き詰めて考えれば、銀行融資が大企業に甘いというのはもはや妄想と言えるもので、しっかりと資金繰りを管理している会社であれば、問題なく資金調達に成功しているようです。
最近ニュースの話題で、どこその会社が経営難とかの話をよく聞くようになったわ。
今の時代と言うか、やはり新型コロナウイルスの影響は、かなりきついものがあるよ。
自粛疲れと言うか、このまま経済が下火になっていく怖さがあるわね。
確かに、元のように戻るのは、かなり時間がかかりそうだ。
会社の経営者として、この苦境を生き残るためにはどうすればいいのかしら。
一番の問題として、事業資金の確保が重要になるね。
事業資金の確保さえ、しっかりしておけば経営は持続できるものね。
それだけじゃなく、資金繰り対策もしっかりしてをおかなくちゃね。
そこで今回は、いかに資金繰りを楽に行う為の、基本対策を解説していこうと思う。
重要な課題ね。よろしくお願いします ! 先輩。
まずは、どうして資金繰りが、厳しくなるのかを分かりやすく解説してみよう。
目次
資金繰りが厳しくなる原因とは
会社にとっての資金とは、ずばり事業資金のことを指していいます。事業を運営していくにあたり、事業資金には設備資金と運転資金がありますが、基本的に設備資金は、起業時にほぼ完結したものとして捉えてよいでしょう。
一般的な会社は、大会社であれ小規模事業者であれ、商品の販売あるいはサービスの提供により、売り上げを得ているといった構図は変わりません。
したがって、事業を運営していくに当たり、常に必要な資金として、商品の仕入れ代金のほかにも、借り入れなどの支払いや光熱費及び家賃などの固定費、人件費などが毎月必要となってきます。こうした資金は、事業資金の中でも運転資金にあたるもので、会社の売り上げにかかわらず、毎月必要になってくるものです。
基本的に運転資金は、毎月の売り上げから相殺されるものですが、資金繰りが苦しくなるのは、売上といった収入よりも、支出が多くなっている状況を指しています。
つまり、資金繰りが厳しくなる現状は、こうした状況によって、運転資金が足りなくなってしまうことを意味しています。しかし、こうした状況は、経営上好ましいものではありません。なぜなら、そうした状況が続いてしまえば、最終的に倒産といった危機を招いてしまいかねないからです。
そこで、経営者は、資金ショートの状況を立て直す為、資金調達を行うことになりますが、その前になぜ資金繰りが悪化してしまったのか、原因を探っておく必要があります。では、資金繰りが厳しくなってしまう原因には、どのようなものがあるのでしょう。
資金繰りが厳しくなる条件は、いくつか考えられますが、その中で特に起きやすい原因や理由を記しておきます。
- 採算も合わない販売や受注がある。
- 支払いサイトが長すぎるケース。
- 未回収の売掛金が存在する。
- 過剰な在庫を抱えている。
- 主要な取引先が倒産してしまった。
- 何らかの原因で取引先が減ってしまい、売り上げが減収してしまった。
- 大量の仕事を受注してしまった。
これらの多くの共通点には、結果的に売り上げによる収益よりも、支出が多くなってしまうことが挙げられます。
実際の収入よりも、支出が多くなってしまう原因は、商品が売れているのに、現金が入ってこないことです。つまり、企業間の取引による後払いシステムが原因で、こうした状況を招てしまうことが多いということです。
なるほど、こうした原因が引き金になるという訳ね。
大なり小なり、多くの会社ではこうした問題を抱えているから、抜本的にすべてを解決することは難しいね。
それじゃあ、説明する意味がないじゃないの?
早とちりし過ぎだよ。まずは、原因を知ることによって、結果に結び付けることこそ大切なんだ。
なるほど。
まずは最近の話題から、コロナ倒産について見ておこう。
最近話題にのぼる「コロナ倒産」はなぜ起こるのか
あらゆる企業にとって、会社の倒産は何よりも先に回避すべきものです。倒産とは、会社の破たんを意味するもので、あらゆる債務を返済できなくなり、事業継続が出来ない状況に追い込まれてしまうものです。当然の事ですが、会社の設備は担保として取られ、これまで会社に従事していた従業員たちも、路頭に迷ってしまうことになります。
だからこそ、会社の経営者たるもの、事業継続に必要な資金の調達は、あらゆる案件に先駆けて取り組まなければならない事項となるのです。倒産件数の推移をみると、近年ではバブル崩壊やリーマンショックが記憶に新しいところですが、昨今世界で流行している新型コロナウイルスの影響で、コロナ倒産が顕著になってきています。
コロナ倒産の特徴は、国内の消費状況が縮小してしまい、これによる影響で売上に頼っていた収入が、大きく減少してしまうことにあります。
ご存じの通り、日本の企業は上下及びヨコの関係で、会社間の取引が主体となっています。経済の流れには、生産・加工 →流通 →卸元 →小売といった大まかな流れがあります。
もちろん、この流れはさらに細かく分類されるものですが、共通しているものはすべて、需要ありきだというところです。つまり、日本経済の支えは、すべて需要で成り立っているものであり、国民一人一人の買い支えが経済を促しているわけです。
すなわち、急速な世界経済の不況は、すべて買い控えによるもので、その原因の最たるものが、経済活動の自粛であることは間違いありません。
経済の大まかな流れは、先に述べた通りですが、末端の小売でサービスや商品が売れなくなってしまうと、仕入れによる支払いが滞ってしまいます。
つまり、経済流通の各要所において、支払いに困窮してしまうという状況が起こっているわけです。どの会社においても、売上高といったものは、あくまでも予想水準であり、流動的なものです。
しかし、店舗やオフィスにかかる家賃、仕入れや人件費・光熱費などは、毎月必ず必要になるもので、基本的には月ごとに支払いを行わなければなりません。このような固定費は、ほぼ確定的なもので、売り上げを含む運転資金の不足は、事業継続に際して、危機的なダメージを及ぼしてしまうのです。
やっぱり、自粛による影響は、かなり大きいものね。
自粛が解除されたからと言って、簡単に景気が戻るものではないからね。そこで特に、資金繰りが悪化しやすい業種を見てみよう。
資金繰りの悪化しやすい業種とは
現在、日本国内には、200種類以上もの業種が存在しています。その中で、特に資金繰りに困窮しやすい、両氏といったものが存在しています。資金繰りが悪化しやすい原因の多くは、支払いサイトが長くなってしまうというものです。
支払いサイトが長くなれば、それだけ立て替えが必要となってきますので、入金の遅れはすなわち、資金繰りが困難になってしまうことにつながるわけです。業界で特に、支払いサイトが長いことで知られているのが、建築関連の業種です。
特に工事期間など、工期が長くなってしまう業種については、完成するまで入金が困難になるといった状況があります。また、衣料品関連のアパレルメーカーも、そうした支払いサイトの長い業種です。
ご存じのとおりアパレル業界は、ファッションの流行に非常に敏感な業界です。夏場には、冬場の衣類を生産し、冬場には夏用と、半年以上先を見据えた業務が、事業戦略の基本となっています。業種こそ違えども、建設業もアパレル業も、材料を仕入れして施工、あるいは生産した商品が売れて、売上代金が入金されるまでに、数ヶ月かかってしまうのが共通点です。
さらにこれが、約束手形であった場合、さらに手形の現金化までに、時間がかかってしまうことも考えられます。この間、仕入れた代金の支払いがあり、さらには家賃・光熱費や人件費などの支払いも行わなければなりません。つまり、こうした支払いスタイルは、立替期間が長い会社や受取手形が多い会社の場合、ほかの業種に比べて資金繰りが悪化しやすいという特徴を持っています。
特に、アパレル業界の場合、必ずしも作り出した商品が売れるとは限らず、余分な在庫を抱える事により、さらなる経営の悪化を招く恐れがあります。また、資金繰りが悪化しやすい業種に、商品の動きがあまり見られないといった業界が挙げられます。
貴金属などの宝飾店やカメラ店などは、必ずしも毎日商品が売れるわけではありませんので、販売力が弱くなれば、それだけ資金繰りの悪化につながります。
また、業種にとらわれず、資金繰りが悪化しやすい、経営スタイルといったものがあります。例えば、商品の陳列期間が長いと、常連客に飽きられることもあります。
また、部門ごとの採算管理ができなければ、どの部門で儲けが出ており、どこで赤字を出しているかがわからず、採算性の改善ができません。つまり、自社の採算性や資金繰り状態の把握と、改善の為の対策ができなければ、いつまでたっても経営が改善されないという事です。
なるほど、こうした業界にいる人たちは大変よね。
これまでに挙げた以外にも、発注から納品が遅くなりやすい業種なんかも、資金繰りショートが起こりやすいんだ。
大なり小なり、どの業界もコロナの影響を受けているわよね。
そうだね。特に資金力に厳しい会社が、ダメージが大きいと言えるね。
そこで、資金繰りの悪化を避けるためにも、いろいろな手段をとっておく必要があるんだ。
資金繰り悪化を解消する為の即効性の手段
会社の売り上げの減少、または支払いの増加により、収入よりも支出が多くなる状況は、危機的な事業のイエロー信号状態といってもよいでしょう。
そこで必要となってくるのが、外部から資金調達を行うといった手段です。外部から資金調達を行う手段としては、資産の売却や融資、あるいは出資を募るといった三つの方法があります。
しかし、即効性へといった目的を考えれば、金融機関からの融資は、審査に時間を要してしまう事から、必ずしも素早い資金調達が可能とは言えません。
同様に、出資についてですが、株式の発行や社債・私債の公募、クラウドファンリングやエンジェル投資による資金調達などがあります。しかし、準備期間までには時間がかかり、必ずしも出資が受けられるとは限りません。
最近では、新型コロナウイルスの影響もあり、政府では企業の救済措置の為に、助成金や補助金を含む、いくつかの融資緩和措置を盛り込んだ政策を打ち出しました。
日本政策金融公庫での融資は、基本的に担保や保証人を必要とせず、中小企業や小規模事業者にとって、かなり魅力的な資金調達方法です。
しかし、いずれにせよ、即効性といった意味では、どうしても時間がかかってしまう為、こうした融資制度を利用するにせよ、現状を打破する必要があります。
そこで、現状の資金繰りの悪化を解消する手段として、短期的に行えるいくつかの資金調達方法を挙げてみましょう。
- 不要在庫を活用した資金調達方法
- 売掛債権を利用した資金調達方法
- 手形割引を利用した資金調達方法
出先のない在庫を抱えているのであれば、不要在庫の売却は有効な資金調達方法となります。また、こうした不良在庫を担保とし、融資を受けるといった手段もあります。
そして、売掛債権を利用した資金調達方法として、特に有効な手段にファクタリングが挙げられます。
ファクタリングは、売掛債権の売却といった方法で、資金調達を可能としたもので、2社間及び3社間ファクタリングが行われています。
短期間での資金調達方法としては、即日での資金調達が可能な、2社間ファクタリングがお勧めですが、売掛金の状況によってはかなり手数料が高くなってしまいます。
そして、手形取引を行っている会社であれば、手形割引による資金調達方法が考えられます。
ただし、ファクタリングと同様、手数料分が目減りしてしまう事と、手形割引そのものが断られてしまう可能性があります。
いわゆる、資金調達というやつね。
あくまでも手段として、いくつかの資金調達を確立しておくということが大切なんだよ。
次に、資金繰りを悪化させない為にも、キャッシュフローを改善していこうという話題に移ろう。
予防対策になるわけね。
キャッシュの流れを把握して資金繰りを改善しよう
資金調達に成功し、一時的に資金繰りが改善されたとしても、それでホッとするのは時期尚早です。なぜなら、資金繰りの悪化の現状が、少しも改善されていない可能性があるからです。
事業形態によっては、いわゆる「資金ショート」しやすい業種がある事は先に述べた通りですが、資金繰りを正常化させる為には、体内にながれる血液のように、おカネ回りを規則正しく循環させる必要があります。
資金繰りの改善ポイントを考える為には、まずキャッシュインとキャッシュアウトの構図を把握しておかなければなりません。キャッシュインとは、収入を意味する言葉で、逆にキャッシュアウトは支出を意味しています。
具体的に言えば、キャッシュインを増やし、キャッシュアウトを減らすことが、資金繰りの改善につながるといってよいでしょう。
では、具体的に言って、どのように改善すればよいのでしょう。
簡単に言ってしまえば、キャッシュインのタイミングを早めて、キャッシュアウトを遅らせる事が改善策となります。それにはまず、自社が必要としている運転資金を把握する必要があります。必要な運転資金の計算式は、以下の通り。
売掛金+在庫-買掛金=必要運転資金
支払いのタイミングを遅くし、早いタイミングの入金があれば、資金繰りが改善されることになります。その為にも、以下のような対策が有効な手段となります。
具体的には、どうしたらいいのかしら ?
それについては、改善策の一部を紹介するよ。
まずは、いかに収益を増やしていくかについてだね。
キャッシュインの改善策
利益を増やす
新規顧客の開拓や、単価の引き上げによる価格の見直しなども有効な手段です。
つなぎの資金調達
短期的な資金繰りの改善策と、中長期的な資金繰りを考慮した資金調達手段です。
会社資産の利用
不要な在庫の処分、使用していない不動産などの売却。含み損がある場合、売却損は利益を減らすことにつながりますので節税対策にもなります。
利益を増やすというのはこのご時世、少し無理があるんじゃないの ?
資金繰りの改善は、ひとつじゃなく、トータル的にみることも必要だよ。
そうか、だからこそ、支出も見直さなければいけないんだね。
よく気がついたね。
キャッシュアウトの改善策
経費削減
経費及び光熱費に無駄がなか、また人件費など無駄な残業が発生していないかをチェック。また、役員貸付金や仮払金など、私的な借入金がある場合、これらの返済を促すこと。
売掛金の回収期間を早める
取引先との問題になりますが、経営悪化が懸念される取引先については早めの回収を心がけます。また、未回収の売掛金がないのかをチェック。売掛金の回収時期を早める手段として、手形割引やファクタリングといった手段も検討します。
支払いを遅らせる
取引先相手との話し合いとなりますが、支払いサイトを長くするのも、キャッシュアウトを遅らせる一つの方法です。また、金融機関などに対して、借入金などの返済見直しも検討しましょう。
なるほど、トータルで見直し行うことが大切なのね。
見直しも大切な要素なんだけど、常に資金繰りを安定させるには、資金繰り表を作成するのがお勧めだよ。
資金繰り表を ?
そうさ、資金が不足するタイミングが早期にわかれば、対策を打ち出しやすくなるからね。
つまり、お金のコントロールをするという事だよね。
そういうことになるね。
帳簿上いくら儲かっていても、手元にキャッシュがなければ、資金繰りに奔走することになるからね。
よく勉強になりました。有り難うございます ! 先輩。
まとめ
キャッシュイン・アウトによる見直しは、資金繰り悪化の改善策として、非常に有効な手段となるものです。その為にも、資金調達の手段と支払いの優先順位を定める事によって、より資金繰りも楽になっていきます。
ただし、無理な人件費の削減や、経費の圧縮など、かえって経営の悪化を招くことも考えられますので、より慎重に行う必要があります。
以上、【事業者必見】資金繰りが楽になる !まずは収益と支出の優先順位を決めるべし!…でした。
\ メリット盛り沢山 /